“仏の稀勢”単独首位 白鵬負ける波乱にも微動だにせず

 「大相撲初場所・8日目」(15日、両国国技館)

 大関稀勢の里が初日から無傷の8連勝に伸ばし単独トップに立った。平幕隠岐の海を逆転の突き落としで下し、4場所ぶり6度目のストレート給金。全勝で並んでいた横綱白鵬が平幕荒鷲に寄り切られ痛恨の初黒星。初顔相手の連勝は28で止まった。荒鷲は6日目の鶴竜戦に続く2個目の金星。平幕の貴ノ岩、蒼国来が1敗を守った。

 白鵬にまさかの土がついた。支度部屋で頭上のモニターが大波乱を映し出していたが、稀勢の里は目を閉じ、微動だにしなかった。

 9日目から大関戦が始まることを問われると「集中してやる」。単独トップにも「またあした集中してやる」。周りは見ないか?には「集中してやる」と、自らに言い聞かせるようにつぶやいた。

 唯一の無傷8連勝で、4場所ぶり6度目の全勝ターン。宿敵白鵬が敗れる前、稀勢の里はヒヤヒヤ星を執念でつかんでいた。

 前回対戦で屈したくせ者、隠岐の海に両差しを許した。後退しながら、土俵をぐるっと半周。勝機をうかがうと、土俵際、持ち味である左からのおっつけで、相手を強引に土俵にたたきつけた。

 後手を踏んだ立ち合いには「いろんな展開がありますから」と淡々。危なかったかと問われると「どうですかね」と、かわした。

 昨年は必死にリラックスしようとしていたのか、土俵下や花道で浮かべる不敵な笑みが注目されていた。今年はより表情が柔和になっている。この日の朝稽古では「カメラアングルに悪意がある」と冗談めかしたが、悔しさを糧にたどり着いた境地が今の“仏の顔”だった。

 昨年は3場所連続の綱とりをすべて失敗した。5月場所は初日から12連勝したが13日目から2連敗。ここぞの精神面の弱さを指摘され続けてきた。

 一方で通算69勝を挙げ、初の年間最多勝を獲得し自信も得た。今場所、全勝などハイレベルの初優勝なら一気に綱とりの可能性もある。最強大関を卒業する機は熟した。「きょうはきょう。またあした」。いつもの言葉に決意を込めた。

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