綱とり豪栄道 同期のライバル栃煌山を撃破 秋場所の勢いそのまま

 「大相撲九州場所・初日」(13日、福岡国際センター)

 綱とりの大関豪栄道(30)が同期のライバル栃煌山を押し出し、幸先良く白星スタートを切った。引かずはたかず前へ出る、先場所の相撲を取り切った。大関とりの関脇高安も幕内上位に復帰した遠藤に何もさせずに突き出し、こちらも白星発進。注目の2人は、早くも2日目に対戦する。休場明けの横綱白鵬は隠岐の海を突き落とし、史上3人目の通算勝ち星1000勝へ“マジック2”とした。

 全勝優勝した秋場所の勢いをそのまま九州に持ち込んだ。豪栄道は立ち合い素早く低く立つと、左を差して一気に前へ出た。土俵際で栃煌山にすくわれて回り込まれたが、相手をよく見て押し出した。引かずはたかず前へ出る相撲は今場所も健在。大入り満員の観客席から大きな拍手を受けて、堂々と花道を引き揚げた。

 「最後はもう少し脇を締めないといかんけど、出足は良かった。最後は相手がよく見えていたと思う」

 栃煌山とはともに05年初場所初土俵のライバル。過去の対戦成績も19勝13敗で油断できない相手だったが、取り口を知り尽くしてはいても「力があり、気を抜ける相手じゃない」と前夜はビデオで改めて取り口を徹底研究。大事な場所の初日白星という好結果に結びつけた。

 対戦相手だけでなく、自分自身にも厳しく向き合っている。これまで左膝半月板損傷、左肩骨折などのけがに泣かされ続け、先々場所までの12場所で2桁勝利はわずか1度。だが、四股を踏み続けてきた地道な努力のかいがあって、下半身の安定感が増し、先場所は全勝で初優勝。体調管理と調整の大切さを改めて認識し、今場所も入念な体のケアと平行して初日の1週間前から大好きなアルコールを断っている。

 「体の状態は先場所と変わらないくらいいい。それは今場所だけじゃなく今までの積み重ねですから」

 重圧のかかる初日を白星で飾り、2日目は大関とりを目指す関脇高安を迎え撃つ。過去の対戦成績は7勝12敗と不利だが、ここ3場所は2勝1敗と盛り返している。「何をしてくるか分からない相手だけど、我慢して相撲を取るだけ。体の動きはまだまだ。これから良くなるんじゃないですか」。難敵を返り討ちにし、一気に波に乗る。

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