東京五輪「ボート・カヌー会場見直し」さらに混乱…IOC再び“韓国案”検討も

 東京都による20年東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー会場の見直し問題で、国際オリンピック委員会(IOC)が現計画の海の森水上競技場が建設されない場合には、代替開催地として韓国を検討していることが18日、分かった。この日、会場の見直しを進める小池百合子都知事(64)と、IOCのトーマス・バッハ会長(62)は都庁でトップ会談。韓国開催への言及はなかったが、バッハ会長は都、国、IOC、組織委員会の四者による作業部会設置を提案し、独断専行で進める都にくぎを刺した。

 都が進める会場見直しによる混乱は、ついに“二国分散開催”という可能性にまで波及した。関係者によると、IOCは海の森水上競技場の整備費が高額なことから、過去にも韓国案を選択肢として示しており、再び持ち出す可能性があるという。IOC側が想定するのは、14年仁川アジア大会で使われた韓国中部の忠州ボート場で、国際規格の2千メートルコース8レーンを備える。

 都政改革本部の調査チームが9月29日に、海の森水上競技場など3会場についての見直しを提言して以降、高い支持率を武器に検討を進める小池知事だが、組織委、国内外の競技団体などの反発を招いている。海の森水上競技場については、調査チームの報告書に宮城県長沼ボート場への変更案が盛り込まれており、宮城県は招致に意欲。日本選手たちの待望論が根強い埼玉県の「彩湖」案も浮上するなど、妥協点を見いだせない状況が続く。“韓国案”はそんな状況を見かねたIOCによるけん制という見方もある。

 この日、来日したバッハ会長は“韓国案”について「うわさについてのコメントはしない」と、否定も肯定もしなかった。小池知事とのトップ会談では、知事が「世論の80%が支持している」と会場見直しに理解を求めたのに対し、会長は日本の「モッタイナイ」を引用し、コスト削減の必要性には同意。ただ、会場変更については「開催決定時の東京のプレゼンテーションは説得力があった。ルールを変えないのがベスト」と、賛同しなかった。

 さらに独断専行の形で進める都に対し、くぎを刺す形で都、国、組織委、IOCの四者による作業部会の設置を提案。知事もこれに同意し、来月にも同部会の会合が開かれる見込みとなったが、それぞれの思惑が絡み合っており、混乱収束のメドは見えてこない。

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