情熱と大らかさのリオ五輪 「リオdeいいね!」
17日間にわたって熱戦が繰り広げられる五輪もいよいよゴールが見えてきました。南米で初めて五輪の舞台となったリオデジャネイロは空席の多さや交通網の不便さ、観客のマナーの悪さなど数多くの問題が指摘されますが、カーニバルの街らしい情熱と大らかさに包まれています。
感動したのは敗者への拍手です。8月6日の柔道女子48キロ級では、前回ロンドン大会でブラジル女子初の柔道金メダルを獲得したサラ・メネゼスが準々決勝で敗れ、敗者復活戦にも負けてしまいましたが、割れんばかりの温かい拍手を浴びました。 16日のサッカー女子準決勝では初優勝を狙ったブラジルが圧倒的に攻めながらゴールネットを揺らせず、PK戦の末に決勝進出を逃しました。それでも惜しいチャンスを何度もつくったチームに喝采と「ブラジル!」コールが送られました。 その心情を知りたくて取材した中の一人、アンドレアさんの言葉が象徴的でした。「全力を尽くし、僕たちを興奮させてくれればそれでいい。もしメダルが取れたら、銅だって金と同じくらい盛り上がれるのさ」 メイン会場となっている五輪公園の敷地内は競技会場以外にも飲食コーナーやPR施設などに観戦客がごった返しています。あちこちに設置されている記念撮影コーナーは、どこも長蛇の列です。競技会場を背景に、五輪マークや大会ロゴのモニュメントの前でパチリ。床から弧の形状をしたバーが突き出ていて、ぶら下がると棒高跳びをしているような写真が撮れるブースもあり、2歳のお孫さんをお持ちのアナマリアさんは「頭に血が上るわ~」と楽しそうに悲鳴を上げていました。 ロシアのジャージを着た夫婦を見つけたので、話しかけてみるとシンクロナイズドスイミング代表選手のご両親でした。世界有数のスポーツ大国は今大会、国ぐるみのドーピング問題で揺れましたが、愛娘が観客に熱く迎えられたというドミトリーさんは「五輪精神を強く感じられた。素晴らしい大会だ」と屈託のない笑顔でした。(リオデジャネイロ共同=戸部丈嗣)





