広島・鈴木 移籍後初勝利 ブルペンデー6人0封リレー 新井監督「本当にみんな頑張ってくれた」
「ヤクルト0-4広島」(5日、神宮球場)
みんなで勝ち取った白星じゃ!9連戦7戦目の広島が6投手の継投で完封勝利を収めた。昨年12月の現役ドラフトで日本ハムから加入した鈴木健矢投手(27)が2番手で登板し、2回2安打無失点で移籍後初勝利をつかんだ。チームは今季9戦目にして関東地方の球場で初勝利。連勝も3に伸ばし、再び貯金1とした。
左翼席から三塁側席までを真っ赤に染めた鯉党から惜しみない声援が降り注ぐ。記念のウイニングボールをユニホームのポケットにしまい、クラブハウスへと引き揚げる鈴木は笑みをこぼした。“ブルペンデー”で2回無失点と粘った末の移籍後初星。「もう1イニング行かないといけない展開だった」と反省しながらも「すごくうれしいです」と一息ついた。
1-0の四回から先発・高橋の後を継いで登板。サンタナに右中間への二塁打を浴びるなど1死二、三塁のピンチを背負うも攻めた。4番の山田に対して内角へ4連投し、最後は詰まらせて二飛。「僕の持ち味という部分で、あそこは攻めていかないといけなかった」と胸を張った。次打者オスナには一転、変化球を6連投。空振り三振に仕留めてグラブをたたいた。
日本ハム時代に新庄監督からの勧めで横手から下手投げに転向した。地面スレスレからボールをリリースして打者を幻惑するが、この日は地面から幸運を見つけた。試合前練習を行っていた神宮球場隣接の軟式野球場で、グラウンドに自生する四つ葉のクローバーを発見。「何かいいことあるかな」と胸をときめかせて向かったマウンドには、本当に“幸せ”があった。
9連戦の真っただ中で、前日に広島で試合を行い東京に移動しての一戦。ローテの谷間として高橋が約4年ぶりに先発し、3回無失点の好投を披露するなど、継投で勝利をたぐり寄せた。新井監督は「鈴木もそうだし、島内も、森浦、塹江、栗林も。ブルペンデーみたいな感じだったけど、本当にみんな頑張ってくれた。ナイスピッチング」と褒めたたえた。
懸命な投手リレーの先にあった勝利。第3回現役ドラフト組で初勝利となった鈴木は「活躍の場をいただくことは、ファイターズだったらなかったかもしれない。カープに来られたからこそ、勝ちもついてきたのかな」と実感を込めた。現役ドラフト史上初の2巡目指名を受けた男がつかんだ一番星。近年のカープ戦士にはいなかった投球スタイルで、チームに新風を吹き込んでいく。
◇鈴木 健矢(すずき・けんや)1997年12月11日生まれ。27歳。千葉県出身。176センチ、80キロ。右投げ左打ち。投手。木更津総合高、JX-ENEOSを経て19年度ドラフト4位で日本ハムに入団。20年6月23日の楽天戦で1軍初登板。22年にサイドスローからアンダースローに転向し、同年6月26日のソフトバンク戦でプロ初勝利を挙げた。昨年12月の現役ドラフトで広島に移籍した。




