創志・高田 今大会最速149キロ完投星

 「選抜高校野球・1回戦、創志学園5-1東海大甲府」(24日・甲子園球場)

 創志学園(岡山)の高田萌生投手(3年)が1失点完投で同校の初勝利に貢献した。浮ついた気持ちが覚めた。笑みを浮かべて近寄ってきた長沢宏行監督(62)の一言で我に返った。「ちゃんと、野球をやろうや」-。味方が逆転した直後、ベンチ前で声をかけられたシーンを「めっちゃ怖かったです…」と高田は苦笑いで明かす。

 立ち上がりからフォームのバランスが崩れていた。二回に先制点を献上し、打席では送りバントを失敗。そんな高田を見かねた恩師が入れた“一喝”から、まるで別人のように変わった。

 六回以降、許した安打はわずかに1本。直球は巨人のスピードガンで今大会最速となる149キロを計測した。1失点完投で同校の歴史的初勝利を呼び込んだ高田。「自分たちの手で新たな歴史を作りたかった」と納得の表情を浮かべる。

 昨夏の岡山大会決勝、右腕は終盤に打ち込まれ逆転で甲子園出場を逃した。涙を流し、自分を責め続ける高田を長沢監督は熊野合宿へと連れ出した。「眠れんやろから」と出発したのは当日の夜。そこから6日間、チームを猛練習で引っ張った。

 当時、長沢監督の夫人が病に伏していたことはチーム全員が知っていた。「そんな監督の背中を見て、並の努力じゃ甲子園はダメだと思った」と心を奮い立たせ、聖地への道を歩んだ高田。エースと恩師の固い絆が1勝となり、新たな歴史の1ページが刻まれた。

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