阪神・才木 熱投今季初星 術後最多107球!8K 左手鍛錬効果101球目で151キロ
「阪神6-2DeNA」(2日、京セラドーム大阪)
降板時の鳴りやまない拍手の中、阪神・才木浩人投手は顔をしかめた。七回を投げ切れなかった悔しさがこみ上げる。それでも見るものすべてを魅了する、まさに圧巻の投球だった。
初回先頭・佐野に右前打を許すも、後続を3者連続三振。七回1死一塁で降板するまで二塁すら踏ませず8奪三振を記録した。6回1/3を4安打1失点で今季初白星。昨季をまたいで3連勝となった。
昨年9月。才木は左手で箸を持ち始め、1時間弱をかけて食事を平らげていた。2020年11月に受けた右肘トミー・ジョン手術からの復活シーズンを終え、23年は真価が問われる1年となる。日本一の投手を目指す歩みは、オフの間も止めることはなかった。
「あれ、浩人って左利きやっけ?」
友人らと食事に行くと必ずと言っていいほど質問され、「左手が不器用やから使えるように」と答えた。利き手ではない左手にフォーカスし、本来ならリラックスできるはずの食事の時間でさえも自らに試練を課した。
利き腕と同じくらい、グラブ側の腕の操作も投球では重要とされている。才木は須磨翔風高3年春に左腕の動作を改善。カマキリのカマのように手首を折り、動きをコンパクトにしたことで出力の向上に成功した。
左手での食事を始めてから約3カ月後には、右手と遜色ないほどスムーズに食べられるようになった。「まだかきこめない」と完璧にマスターするまでには至っていないものの、継続は力なり。着実に左手の器用さを身につけていった。
今季初マウンド。“七回の壁”の突破はお預けとなったが、術後最多の107球を投じた。最後まで左手でグラブを力強く操作し、101球目に151キロをマーク。「ボール自体も去年に比べて全然いい」と成長を実感した。お立ち台では「疲れもなくて楽しんで投げられました」と余力を笑顔でアピール。今度こそ、マウンドを独り占めしてみせる。
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