人生に染みるだし 「大衆食堂日本一」大阪・都島

 自慢の親子丼とカレーうどん
 蒼井優(左)と阿部サダヲ(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
 (左から)櫻本賢治さん、タツコさん、修造さん、佳代さん。前列が陽千和くん
3枚

 「登場人物が“クズ”ばかり」と異色の触れ込みの映画「彼女がその名を知らない鳥たち」(白石和彌監督)が28日、公開される。今秋最大の話題作と評判だ。劇中で主人公2人が晩ご飯を食べるシーンで登場するのが、大阪・都島の「大衆食堂 日本一」。創業以来の「だし」で作るうどん、丼類が自慢の、アットホームな食堂だ。

 ◇   ◇

 女優、蒼井優(32)が新作において大阪弁全開でのぞむ。

 嫌みなクレーマーの十和子(蒼井)は、一緒に住む陣治(阿部サダヲ)に養ってもらいながらわがまま放題に振る舞う。2人が珍しく和やかに食事をする場面が「大衆食堂 日本一」で撮影された。

 「昔ながらの雰囲気がある食堂」を探していた製作スタッフが、ネット検索で目にとめた。店のすぐ背後にJR環状線の高架線路が走っているのも決め手になった。

 現在の場所での営業は1955(昭和30)年から。前身は大阪市都島区東野田で営んでいた純喫茶「日本一」で、44(昭和19)年の空襲で全焼した。その後、現店主の櫻本修造さん(81)の母、やおさんが焼け野原の中から元の場所に残っていた水道管を見つけ出し、戦後の46(昭和21)年春、こごめ(ご飯にできない悪い米)を材料にしただんご汁を作って売り出した。

懐かしくて涙

 ほとんど汁ばかりの粗末なものだったが、長い行列ができ、たちまち売り切れたという。62(昭和37)年、修造さんと結婚したタツコさん(77)は「食堂へ嫁入りしたら料理しなくてすむかなぁと思ったのに(笑)。忙しくて忙しくて」と振り返る。高度経済成長の時代、近くに工場がいくつも建ち、従業員たちが次々と店にやってきた。

 「地方からきた住み込みの女の子たちがいてね。1部屋にザコ寝でしたが、皆楽しそうに働いてくれました」とタツコさん。3代目となる長男の賢治さん(48)は「小学生の時には出前を手伝っていました」と多忙さを付け加えた。

 メニューはうどん、丼物が中心。やおさんが試行錯誤の末にあみだした昆布、シイタケ、かつお節などをブレンドした「だし」は今も受け継がれる。

 開店から60余年。来店したサラリーマンが「5歳ぐらいのとき母に連れてきてもらったことがある。懐かしいです」と突然、涙を流したこともあった。

 賢治さんと妻の佳代さん(35)の長男、陽千和(はるちか)君(7)は、「大きくなったら『日本一』をやる」と宣言。頼もしい4代目です。

 ◆「大衆食堂 日本一」 大阪市都島区中野町3の5の25 営業午前8時~午後8時。日祝日定休。JR環状線京橋駅から徒歩10分。TEL06・6351・6379 親子丼、カレーうどん各480円。定食はなく、ご飯と味噌汁、おかずを選ぶ一膳めし屋方式。

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