岸和田の魂を味わう ナイナイ主演「岸和田少年愚連隊」の舞台

 「岸和田少年愚連隊」のロケ地となった「寿里」=大阪府岸和田市
 撮影場所となった「寿里」の2階スペース
 撮影場所となった「寿里」の2階スペース
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 お笑いコンビ、ナインティナイン(岡村隆史、矢部浩之)主演作で、1996年に公開された「岸和田少年愚連隊」(井筒和幸監督)は大阪青春映画の決定版だ。ロケ地となった岸和田市で今もにぎわう鉄板焼き店「寿里(じゅり)」は劇中ではゲームセンターとして登場。大阪人のソウルフード・お好み焼きと、関東でポピュラーなもんじゃ焼きの両方が味わえる人気店だ。

 ◇   ◇

 とんがり屋根の合掌造り風外観が印象的。店内は、すべて飛騨から運んできたという太い柱で組まれ重厚な雰囲気だ。

 ロケでは同店の2階を使用。ゲームセンターに見立て、故・山城新伍さんがオーナー役を演じた。チュンバ(矢野)と小鉄(岡村)が盗みに入ろうとするが、山城さんにつまみ出されるという場面を撮影した。

 店長・畑野恵さん(43)の母で、当時から勤める谷沢和美さん(66)は「私たちは2階へは上がれなかったんやけど、当番ではないパートさんも合わせてスタッフが総勢30~40人ぐらい来てたかな」と振り返る。出番まで1階で待機していたナイナイの2人に「隙あらばサインをもらおうと、おばちゃんたちが待ち構えてたね(笑)」。

 1日だけの撮影だったが、岡村は和美さんを「お母さん」と呼んで慕った。トイレに行きたくなった岡村が、居並ぶ女性陣の間を「先におしっこ行かせて。(サインは)あとでします~」と笑わせて、すり抜けていったという。岡村は約束通りサインした。

 「岡村さんは小柄で可愛らしく、やべっちは男前やったわ」と和美さん。2人は当時、24、5歳だった。

 公開から21年がたち、今年で34年を迎えた「寿里」も進化を続けている。和美さんを手伝っていた娘の恵さんが5年前から店長となり、料理長の夫と共に新メニューも開発していく。お好み焼きは北海道産四元豚「夢の大地」を使った、ちょっと高級な「極豚玉」(1000円)や、おつまみになる一品メニューも。十数年前から「もんじゃ焼き」を加え、明太子、焼き肉、トマトチーズバジル、トロロ梅、海鮮など25種類ものバリエーションがある(680円から)。

 恵さんは撮影時、「朝からナイナイ待ってたけど、なかなか来ないのでしびれをきらして釣りに行きまして」と笑う。それでも「映画はビデオで何度も見ましたよ。岸和田のいろいろな場所がうまくつながっていて驚きました」。

 今は恵さんの長女(19)も手伝い、親子3代で店に立つ。「夢は大阪で一番の店にすること。次の世代へうまくつなげていきたいですね」と恵さん。映画に負けじと目指すは鉄板焼きの“決定版”だ。

 ◆鉄板焼「寿里」 大阪府岸和田市荒木町1の31の26。営業時間午前11時半~翌午前2時。無休。TEL072・443・2226。JR久米田駅から徒歩約10分。

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