初めて来たのに懐かしい~くりでんの故郷 くりはら田園鉄道公園

 今にも列車がやって来そうな旧若柳駅のホーム
 修繕庫をそのまま利用した「ミュージアムゾーン」
 KD10形の本物の運転台を使ったシミュレーター
3枚

 栗駒の里に、昭和にタイムスリップしたような“鉄の理想郷”がオープンした。廃止されたローカル私鉄には珍しい豊富な保存車両や設備が充実した“くりでんの故郷”は、初めて訪れたのになぜか懐かしさが一杯だった。

 ◇   ◇

 前身の「栗原電鉄」から“くりでん”の愛称で親しまれてきた「くりはら田園鉄道」が廃止されたのが07年3月31日。旧若柳駅を含めこれだけの施設と車両が10年間もよく残されていたものだ。

「当時の市長が“くりでん”に強い思い入れがありましてね。廃止当時から『どのように残していくか』を市長中心にOBや有識者の方々と検討を重ねてきたんですよ」と、あたたかい東北なまりで裏話を聞かせてくれたのは栗原市企画部企画課の藤圭一さん。約6億円をかけて「見る・ふれる・体験する」をテーマとした鉄道文化交流拠点に生まれ変わった。

 大正から昭和にかけて建築された機関車庫や修繕庫をまるごと博物館化した「ミュージアムゾーン」。KD10形とKD95形の気動車が保存されている。なかでもKD10型の運転台を利用したシミュレーターは、モニターに実際の“くりでん”走行画像が映され、リアル感は満点だ。工作機械も当時のまま保存されており、「昔はここで部品の整備や補修を行ってました」と学芸員の鍋嶋貴之さんが説明する。

 もう一つの目玉が資料館にある「くりでんジオラマ」だ。長さ16メートルあり、昭和40年代の石越~細倉間の沿線を再現。KD95型の模型が走行する。

 展示車両が多いのも特色の一つ。なかでも栗原電鉄時代の55年に製造された「M15形」電車は、当時の最先端の車両だった。また細倉鉱山からの物資輸送にも活躍した凸型のED20型機関車など50~60年代の最盛期をしのばせる。

 構想10年。多くの困難を乗り越えてきた。特に11年3月11日の東日本大震災では、客車庫が崩れる寸前までのダメージを受け、「正直、もうだめか-」と思ったこともあるという。それでもと努力を積み重ね、オープンまでこぎ着けた。

 鉄道公園として再び走り始めた“くりでん”。沿線の人々の情熱と復興の証しでもある。

 ◆アクセス 東北新幹線くりこま高原駅から栗原市民バスに乗車約15分「若柳中町」で降車、徒歩約5分

 ◆開館時間 10~17時(入館は16時まで)

 ◆休館日 毎週火曜と年末年始

 ◆入館料 一般(高校生以上)500円、小中学生300円

 ◆運転シミュレーター 1回500円

 ◆レールバイク乗車 1台500円、4人まで乗車可能

 ◆気動車乗車 小学生以上1回300円

 ◆気動車運転体験 初回30000円(座学+運転)2回目以降25000円(単機運転)6回目以降40000円(重連運転)

 ◆問い合わせ くりはら田園鉄道公園TEL0228・24・7961。ネットでは「くりはら田園鉄道公園」で検索

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