横尾ワールドで幻想エロスを堪能~ 神戸で開催中「ようこそ!横尾忠則温泉郷」

 「金の湯」2005年 写真提供:横尾忠則現代美術館
 美術家の横尾忠則さん
 銭湯を描いたコーナーでは女湯ののれんも
3枚

 美術家の横尾忠則氏(80)が温泉や銭湯をテーマに描いた作品を集めた企画展「ようこそ!横尾忠則温泉郷」が横尾忠則現代美術館(神戸市)で開催されている。作品はそれぞれ個性的。風呂場に宇宙人がいたり、ウミガメが部屋の中を飛んでいたり、巨大な怪人21面相が道後温泉に現れたりと横尾氏ならではの幻想的な作品もあれば、まげを結った浮世絵風の女性たちが湯あみをするちょっとエロスな作品も。城崎温泉から借りてきた小道具もあって子どもも楽しめそうだ。

 ◇   ◇

 横尾作品が2階から3階までずらりと並ぶ。総数78点。最も印象に残ったのは「高千穂の夜」と題された作品だ。布団に眠る女性の頭付近にこびとが2人。天井近くをなぜかウミガメが浮遊している。

 作品解説によると、横尾氏が宮崎県の高千穂峡を訪れた際に遭遇した不思議な体験が基になっている。横尾氏が夜中、目覚めると隣で眠る妻の頭上に2人の童子がいて相撲をとるようなしぐさをしていたという。ウミガメは宿泊した旅館にあった剥製に由来している。美術館への入場料は700円で、この作品を見るためだけに払っても十分に価値があると言いたい。

 ほかの作品もそれぞれが魅力的だ。湯煙が立つ風呂場になぜか宇宙人がいたり、道後温泉に巨大な怪人21面相がいたりと、想像力の豊かさに立ちすくんでしまう作品が並ぶ。

 展示前に会見した横尾氏は、元々は温泉について否定的だったことを明かした。その理由は「年寄りくさいから」。

 しかし、病気をきっかけに見方が180度変わった。帯状疱疹(ほうしん)を患って医師から見放されたとき、草津温泉に出かけた。横尾氏は「すごく熱くて3分しか入れない。朝と夜に3分ずつ。それで帯状疱疹が治ったんです」と身をもって体験した湯治の効果を訴えた。以来、「温泉信奉者」になり、それがきっかけとなって各地の温泉を訪ね作品も著した。

 銭湯シリーズの作品は、横尾氏が子供の頃に母親に連れられて女湯に入った記憶が基になっている。横尾氏は「早い時間に行くと芸者がいたんです。今も記憶にある」と話した。

 幻想にエロス。あなたはどの作品に見とれるだろうか。

 ◆関連イベント 横尾温泉卓球大会(2月11日午後1時半~。会場は同館。定員はダブルス16組。参加費無料。ただし、高校生以上は展覧会チケットが必要。申し込みが必要。応募者多数の場合は抽選。締め切りは2月2日まで。

 ◆水道筋温泉郷ツアー 3月4日午後1~3時。会場は同館と、神戸の水道筋商店街かいわい。定員20人。参加費無料。(詳細は同館のホームページを)

 ★横尾忠則現代美術館

 アクセス 阪急電車王子公園駅西口より徒歩約6分。JR灘駅北口より徒歩約10分。阪神電鉄岩屋駅より徒歩約12分。

 「ようこそ!横尾温泉郷」開催期間 3月26日まで。

 入場料金 一般700円、大学生550円、高校生・65歳以上350円。中学生以下無料。

 休館日 月曜。ただし月曜日が祝日の場合は変更も。

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