球児と番長を知る友人

 【9月10日】

 藤川阪神が優勝した7日の深夜に記者仲間と祝杯をあげた。時間を忘れ、神戸の焼き肉店で強虎談議に花を咲かせた。同席した同い歳の友人は古くから藤川球児と心を通わせる男…。

 球児というリーダーは…。その友人を通して内面が少しばかり見えるから僕は球児を身近に感じている。

 球児は孤独…。これは僕が勝手にそう思っている。監督になってからなおさらそうだろうし、火の玉ストレートを投げ込んでいた現役時代も…。

 球界で一握りのスーパースターとは概して生涯孤独なんだと思う。だって分かり合えないだろうから。その境地に立った者が周囲に何人もいればいいけれど、いないからスターなわけで。 でも、どんなときも傍で話を聞いてくれる、何でもないようなことを語り合える存在はほんまに稀少。球児にとって、家族以外でそう在り続ける友人を勝手に誇りに思う。

 と同時に、僕が藤川球児への敬意を忘れない理由がある。それは…

 この僕の友人は球児へ耳の痛いことも伝える。いつも是々非々。ふつう、これだけのスーパースターになれば、周囲からもてはやされ、神輿を担がれる。太鼓を叩かれれば誰だって悪い気はしないし、また滑稽なもので、太鼓を叩く人間はどんどん増える。そこで「くるしゅうない…」とはならないのが球児である。というか、ええ歳していつまでも「ちこう寄っていく人間」を冷静に見極め、その人間の本質を見抜くタイプだとも思う。

 是々非々を嫌がるスターは多い。なぜなら「自分が絶対」と思い込むから…。悪いことは悪い。面倒くさいことを言う人間よりも、何でも言うことを聞くイエスマンを傍に従えたがる。耳障りの良きことしか言わない側近を重宝するのが大方だけど、球児はいわば一番厳しいことをぶっ込んでくる人間(僕の友人)を大切にしている。

 翻って、この夜の敵軍の大将はどうか。いや、その類いを僕が論じるのは失礼。だって、性格や友人関係を語れるほど三浦大輔のことを知らないので…。だから、このゲームを見て想像してみる。ちょっと驚いたのは投手起用だ。六回、東克樹に代えてマウンドへ送り出したのはここまで22セーブを挙げる入江大生だった。入江といえば、ご存じ、ハマの新クローザー。ここのところ不調でその重責を伊勢大夢が担うが、それにしても六回に入江?番長にその心を聞いてみたくなった。

 今後も入江はああいうポジションで投げるのか?本紙の番記者によれば、三浦は「どこで使うかは言わないですけど、チームのために投げてもらいます」と語ったそうだ。腹心の具申だったのか。それとも番長自らの着想だったのか。三浦と繋がりのあるカープ監督の新井貴浩にその人となりを聞けば「穏やかで優しい人」という。そういえば、前述の友人は三浦とも通じている。CSへのマネジメントはどんな塩梅か。球児と番長のそれを…と書いていたら、ちょうどその友人からLINEが…。ともに大嫌いな人間の話だった。それも今度書くか…。=敬称略=

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