予期しないものへの反応
【9月9日】
村上頌樹はカウント2-2からカーブで三振を奪った。初回、桑原将志への配球である。絵に描いたような空振りになったのは、桑原が全く予期していない球だったからでは…。
感謝カンゲキ雨嵐か…。予想できなかった。近本光司が登場曲を新たにしたように、早々とリーグ優勝を決めた藤川阪神にとってここからはレギュラーシーズンとは別物の戦いになる。CSで戦う可能性のある相手なら、いわゆる餌巻きも必要になるか。相手だって同じ。個人的には現行のCS制度はどうかと思うけれど、いま何を言っても始まらない。2位、3位のチームは今度はポストシーズンで一泡吹かせにくるわけで、こちらは着実にそれを倒しにかかる準備を進めるだけだ。
例えばA・ケイがCSファイナルステージで登板してきたら?
データ上、右打者が分が悪いからといって大山悠輔や森下翔太を外す選択肢は100%ないわけで…。それならそれで、やられないマネジメントを施すしかない。
先の話だけど、短期決戦の肝はなんといっても4番打者。古い話を持ち出すなと言われそうだけど、僕にとって05年の悪夢はトラウマ。リーグMVPの金本知憲がロッテ相手に13打数1安打。初戦から完璧に封じられたアニキは2連敗で迎えた甲子園で登場曲を変えて臨んだことをよく覚えている。
さて、この夜の佐藤輝明について書けば、最後は当然、起死回生を期待しながら見ていた。3点ビハインドの九回。1死一、三塁で巡った第4打席、フルカウントから149キロに反応せず三振に倒れた。伊勢大夢が最後は山本祐大の構えた外寄りの低いところへズバッ。ここでそのコースにまっすぐ?インハイの直球か落ちるボールか。そんなふうに予想していたから見ているこっちも輝と同じように固まってしまった。判定への不服ではない。まるで予期しない球がきたから「・・・」。そんな反応に映った。
この先1カ月は概して予期しない敵が増えるものだ。宿命とでもいおうか…。ぶっちぎりで優勝すればしたで様々な媒体でかっこうのネタになる。内部でちょっとでも火種を見つけると、週刊誌では文中に「在阪記者」「在阪放送局関係者」が登場したり…。
僕も虎番時代は何度か週刊誌から取材された。きっかけは、ある週刊誌が05年MVPの金本知憲を取材した場でのこと。芦屋市内のホテルでその取材に同席し、初めて週刊誌の記者と名刺を交換…。その後、電話があり、金本にまつわる取材依頼を受けた。「匿名でコメントを掲載したい」。いや、実名ならOKとして取材を受けたことを金本に伝えたことがあった。
もし、いま週刊誌から藤川監督の功績を一つだけ教えてほしいと頼まれたら…。「輝を開花させたこと」と答える。ときに週刊誌に撮られようが構わない。フィールドで結果を出せばええ…そんな球児のおおらかさが4番のメンタルに大きく作用したのでは?と感じる。秋に輝を輝かせるマネジメントにも大いに注目している。=敬称略=
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