「虎の日」に思い出す

 【5月5日】

 きょうは何の日かご存じ?きのうはマツダスタジアムで鯉のぼりがたなびき、赤帽のこどもたちの元気な声が響いていたけれど、残念ながらカープは巨人に完封負け…「鯉の日」とはならなかった。

 では、5月6日は…今年はたまたまこの日だけど、あまり知られていない。

 きょうは虎の日…正確には「寅の日」である。十二支の寅にあたる吉日で12日毎に巡るのでひと月に2、3回。今月は6日、18日、30日がその日にあたる。一般に馴染みがないかもしれないけれど、虎は黄金色にシマ模様が入っていることから、金運の象徴、金運招来日ともいわれている。金運を上げる吉日なので、財布を新調したり、宝くじを買うには縁起の良い日とされるのだ。

 「13」の貯金をためて迎えたこどもの日の虎は、残念ながら無観客試合。神宮にちびっこの歓声は響かなかったけれど、テレビの前の虎党っ子は、今季初のドローをどんなふうに見ただろうか。

 評価はいろいろ分かれるだろうけど、負けなかったことをポジティブに捉えるゲーム。個人的にそんな見方をしている。加えて、変な書き方だけど、吉兆…また、楽しみができた試合だったとも感じるのだ。

 というのも、前回の「寅の日」を思うからである。

 4月の「寅の日」は12日と24日の2回。12日は月曜で試合がなかったので、思い出すのは24日のDeNA戦。13-1で虎が大勝したゲームだけど、かけがえのない日になったし、秋に今シーズンを振り返るとき、きっと分岐点だったと後述できるはずだ。

 その前日(23日)、連敗中の阪神は先発藤浪晋太郎の不振で最下位DeNA相手に黒星、3連敗を喫してしまったのだが、それ以上にインパクトをもってクローズアップされたのは、佐藤輝明のあの後逸だった。

 しかし、失意の輝は翌日なに事もなかったように汚名を返上し、プロ初の猛打賞、4打点で虎の日に…。これもおかしな書き方だけど、メンタルも〈並みの怪物〉じゃないことを印象づけたのだ。

 5月5日、ちびっこが神宮にいれば、輝のミスに「え~」とタメ息をもらしたかもしれない。

 1点リードの七回先頭、ヒットで出塁した輝は梅野隆太郎の犠打で二塁へ進み好機を作りながら、2死後、青柳晃洋の代打糸井嘉男の打席でけん制球に刺されてしまった。たしかに野球は失敗のスポーツといわれる。こちらもそうは書くけれど、長年この世界を取材してきた中で、ミスした当事者が簡単に割り切れないことも知る。今回は、尊敬する大学の先輩の大事な打席。凹むやつだ。それでもそんなときにこそ挽回するのも、輝の輝たるゆえん。そう思わせたのが先月の「寅の日」だった。

 きょう「寅の日」は阪神は試合がない。明日からのDeNA戦へ財布を新調する選手はいないかもしれないけれど、貯金シリーズを願うのはファン心理。僕は…輝爆発の予感がする。=敬称略=

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