ご愛読感謝の戦略

 【4月21日】

 タイガース応援ありがとう!

 ご愛読感謝キャンペーン!

 あれ?ウチの社、こんな企画してたっけ?西宮の自宅ポストに入っていた「購読申し込み用紙」にそう書いてある。ウチじゃない。

 目をこすりながら、もう一度。 タイガース応援ありがとう-太文字でそううたうのは、ジャイアンツの親会社さんである。

 6カ月以上、新規または契約延長いただくだけで、下記のタイガースグッズをプレゼント…。

 ほう…何だかスッキリしないけれど、関西エリアの営業としては今年は特に、間違っていない…というか、ものすごく正しい戦略なのかもしれない。

 僕が初めて見ただけ?同社でこの種の営業は伝統?

 いや、そうでもないかも。というのは、阪神球団の幹部に確かめてみると、「いえ、存じあげてないですね」という返事。そりゃ、そこまで把握していないだろうけれど、伝統球団を持つ新聞社がライバル球団のグッズをウリに、ライバル球団のお膝元で販売拡張を狙う…なかなか斬新な〈戦法〉のように思える。

 もし、阪神電鉄が「岡本和真の写真をあしらったICカード」を乗客にプレゼントすれば、阪神ファンはどんな反応をするだろう? この例えが正しいかどうか分からないけれど、そんなことを想像しながら「伝統の一戦」を見た。

 前夜2発の大山悠輔に負けじとこの夜は岡本が虎を狩った。これで両軍の4番がともに3本塁打。プロ野球ファン目線でいえば楽しみが増えた。いや、阪神ファン目線でもそうかもしれない。

 岡本という男は、ほぼほぼアンチ巨人の虎党からそれほど嫌われていない。なぜって、彼は「元同志」…つまり、子供のころ大の虎党だったから。こんなこと書けば読者の反感を買うかもだけど、僕の臆測なのでご容赦を。

 「松井秀喜なんて大嫌い」という虎党を聞いたことがない。その大方の理由は、松井が熱烈な虎党だったから。そう考えれば、巨人のスターって実は〈虎党出身者〉が多いことにあらためて気付く。松井、岡本のほかに、阿部慎之助だって父親の影響でそうだし、伊丹の少年野球チーム昆陽里(こやのさと)タイガース出身の坂本勇人だってそう。僕の取材では、少年時代の坂本は桧山進次郎の応援歌をよく歌っていたそうだ。

 だれ~もお前を止められぬ♪って、あの旋律である。

 誰にも止めてほしくなかった連勝が、そして「神話」が、巨人にいや、岡本和真に止められてしまった。奈良出身の僕にとって岡本は同郷のスターであり、虎党出身者と聞けば、なおさら…いや、肩入れを滲ませれば、ウチの販売拡張に影響するか…。

 「負けたら、すべて僕のせいにしてもらったらいいんですよ」

 岡本は在京局の密着番組でそんなふうに語っていた。なかなか骨太な阪神ファ…いや、巨人の4番じゃないか。これでウチの4番とのタイトル争いがおもしろくなった。=敬称略=

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