梅野隆太郎が描く理想像

 【3月27日】

 東京のスポーツ各紙もこぞって佐藤輝明を1面にするかも…そんなことを思いながら書いている。漫画の世界から飛び出したようなスーパーマン。少し放心して背番号8を眺めた開幕2戦目である。

 きょうはテル祭りで華やかな紙面。デイリースポーツのトラ番が嬉しい悲鳴をあげながら大量の原稿を書く傍らで、僕は阪神タイガースを開幕連勝へ導いた扇の要をピックアップしたい。

 梅野隆太郎とサシで話したときに聞いたことがある。

 梅ちゃんにとって理想のキャッチャーってどんなキャッチャー?

 「理想ですか…」

 キャッチャー本人を目の前に、キャッチャーを俯瞰してもらう。ある意味シンプル過ぎる問い掛けに、梅野は少し考えを巡らせながら、丁寧に答えてくれた。

 「漫画の世界とかだと、体型でいえば、キャッチャーってドーンとしているじゃないですか。自分のイメージでは、その逆なんですよね。キャッチャーは絶対に機敏じゃなければ無理だと思っています。ドーンとしているような体型では無理かな…というイメージ。ワンバンに対しても、スローイングでも、やっぱり、速く。一歩目を速く。ワンバン止めた後の処理もそうですし、捕ってからの速さとか。何事においても捕ってから遅かったり、スタートが遅かったりでは、プロ野球のキャッチャーは『ない』と思うんですよ」

 この日、守っては青柳晃洋を好リードし、打っては2本のタイムリーを含む3安打3打点。テル様に1面をもっていかれたけれど、僕のモノサシでは連勝の立役者。

機敏さを含め、押しも押されもせぬリーグNo.1捕手だけど、思えば一年前の開幕2戦目はベンチスタート。さらに3戦目もスタメンを外れ、悔しい思いをした。

 理想のキャッチャー像で、さらに梅野本人に聞いたことは…

 頭やハートはどんなもの?

 「切りかえが大事です。例えば1点取られたら、2点目を防ぐにはどうするか、とか、2点まではいいと思ってやるのか。試合、相手によって、3点以内に抑えて何とか4点取って勝てればとか。想定しながら臨まないと、あ、1点取られた、どうしようではなく、きょうは2点、3点までならオッケーとか…。そういう逆算ができることも(理想像)ですよね」 

 僕がこの欄を始めてからずっと書いてきたこと…それは「阪神のレギュラー捕手は梅野隆太郎である」ということ。だからこそ一年前は驚いたし、今年もそんな起用があるのか…と、正直、開幕3連戦のスタメンは、発表されるまでドキドキする。もちろんスタメンの用兵は監督である矢野燿大の専権事項であり、そこに関して邪魔になる筆は要らないスタンスだけど、これからも本心を隠すことはないと思う。だから余計に思う。梅ちゃんが自らの理想像に近づき…いや、もうそのものにならなきゃいけないし、またなるものと信じている。梅野隆太郎がいるから阪神は勝った。そんなシーズンになれば僕の理想だ。=敬称略=

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