根性で抑えられる?

 【1月12日】

 桑田真澄が第3次原辰徳政権に入閣する。これまで東大など学生への指導歴はあるけれど、NPBでのコーチ就任は初。世代的にKKコンビは永遠のスターだから、僕にとってはビッグニュースだ。

 桑田は引退後、スポーツ報知の評論家としても健筆をふるってきた。記者席で隣になったこともあるのだが、プロ野球OBの評論家が自らパソコンにカチカチ打ち込む姿は初めて見た。テレビ解説を聴いても独自の世界観があるし、通算173勝の技術理論に絶対的な裏付けを持つ。どんな形でチームに関わり、どんなスタイルで巨人投手陣にアプローチするのか。

 桑田といえば思い出すのが、藤浪晋太郎との対談である。18年オフに読売テレビで実現したものだけど、とても興味深かった。藤浪が制球難に病んでいるといわれ、不振の闇から抜け出せないでいた同年、桑田は甲子園Vのキャリアを共有する後輩に投げかけた。

 桑田「(問題は)よくメンタルとか言う人いるでしょ。全く問題ないと思う。メンタルが強くなければ、甲子園で優勝なんてできないから。藤浪くんに足りないのはズバリ技術力だと思う。フォームさえ、これだというものをつかめば、全てクリアされると思う」

 藤浪「自分も、技術力が足りてないと思うんです」

 桑田「あのマウンドにいてて、根性があれば抑えられる?」

 藤浪「絶対に無理です」

 そんなやりとりだった。

 巨人OB上原浩治はTwitterで「わぉ、桑田さんが巨人のコーチに…これは楽しみだなぁ。ピッチャー陣が変わるかもしれませんね」と期待溢れるつぶやき。きっと、それだけの資質を後輩として感じていたのだろう。

 「不振の原因はメンタル」と決めつけで指摘するのは、プロ野球に限っては、指導者の仕事放棄。そういう意味で阪神ファンの関心を引く人事は、川相昌弘の臨時コーチ就任かもしれない。守備にしろ、犠打にしろ、巨人で培った職人のワザを阪神に落とし込むという、ある意味、掟破り(?)の免許皆伝にも注目が集まる。

 菅野智之が残留し、実績ある新助っ人も補強。年越し第1弾のサプライズが桑田コーチ。相手に不足はない…けれど、僕が巨人戦力で大いに気になるのは、機動力の変貌〈予想〉である。

 20年のチーム盗塁数は、阪神と巨人がともに80でセ・リーグトップ。連覇達成は、やはり「足」が活かされた結果でもあったわけだけど、ここにDeNAで一番走った梶谷隆幸(昨季14盗塁)が加われば、また野球の質が変わる。

 阪神は盗塁王の近本光司(31盗塁)をのぞけばレギュラー野手で最多は梅野隆太郎の5盗塁。旧知の他球団スコアラーは、「(阪神は)チームとしてどんどん仕掛けて(走って)きた印象はない」という。なんて話を聞けば、あのレジェンドを再び臨時コーチに招くのも手か…なんて思ったり。実は金本知憲は監督時代、その男にコーチ就任を要請していた事実がある。続きは次回。=敬称略=

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