自主性は当たり前

 【11月22日】

 明治安田生命が実施する「新入社員が選ぶ理想の上司」ランキングを毎年楽しみにしている。20年度のトップは男性が内村光良、女性は水卜麻美アナだったけれど、21年度はどんな顔ぶれになるか。

 なぜ、こんな話をするか?って先日、デイリースポーツの後輩がある阪神球団のベテラン職員に尋ねていたからだ。

 「○○さんにとって、理想の上司ってどんな人ですか?」

 その職員は「どうやろ…」と、ちょっと考えを巡らせながら、こんなふうに返していた。

 「文面のやり取りで言葉使いが丁寧な上司かな」

 文面には人柄が出る。例えば、なかなか本意が伝わりにくいメール、LINEといったツールで部下にぞんざいな返答をする人は、「器が知れる」とその人は言う。

 「例えば、部下から業務上の相談、問い合わせを受けて、しっかり丁寧に返す人と、たったひと言しか言葉を返さない人。自分が人の上に立つなら、前者くらい余裕のある人間でいたいと思う」

 なるほど。

 親身になって叱ってくれる人は有り難いけれど、ただ〈役職〉がついているだけでスカし、エラそうな人間は「理想の上司でない」ことは確かで、そんな人を誰も心ではリスペクトしない、と。

 何が「理想」なのか、業界やその企業によるだろうけれど、プロ野球ではどうか。球界で上司と部下といえば、指導者と選手。およそ20年ほどこの世界を見てきて、色んな「関係」を見てきた。

 日本球界で「理想の関係」ってなんだろう。正解が分からなくなることもよくある。

 阪神では?

 エラー数が12球団で最も多かったチームが守備コーチを全員「留任」させたことで、あちこちからギモンの声が聞こえてきた。

 「2年も3年も守備力が向上しないのは担当コーチの責任でしかないだろう。なぜ、阪神は新しい指導者を呼んでこないのか」

 そんな類である。

 僕は、実はこの論調には反対の立場である。セ・パの複数球団を取材したうえで書いているが、阪神コーチの指導が決定的に他に劣るとは感じないからだ。

 当欄の見解を書かせてもらえばそもそも、プロ野球1軍選手ってコーチに依存するのか。もし依存したとしても、上達しない要因をコーチに押しつける主力選手っているのか。阪神の球団幹部とそんな話になったことがある。

 そのうえで、その幹部に確かめてみた。来季も矢野阪神は「自主性」を旗標にするのか。

 同幹部は言う。

 「プロですから自主性は当たり前でしょう。言われなくてもやる選手しか伸びない。(世間で)コーチのせいにしたがる人は、仕事ができないことを上司のせいにする人ばかりでは?コーチがエラーしているわけではないですから」

 金本知憲はかつて、「良いコーチ」「理想のコーチ」像を「根気よく練習に付き合うコーチ」と語っていた。御意。=敬称略=

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