絶対返そう。絶対打とう

 【11月17日】

 感無量と書けば大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、ついにこの時がきた…そんな思いである。DeNAの新監督に三浦大輔が就いた。我らが「プロ野球奈良県人会」の名誉会長にエールを…。

 「ハマの番長」。ファンの間でそう親しまれて久しい三浦が奈良生まれ奈良育ちのレジェンドであることは、奈良出身の僕の誇りである。「プロ野球奈良県人会」の立ち上げメンバーとして、ありがたいことに、毎冬開催される同会に参加させてもらってきた。

 思い出深いのは、三浦の現役時代、この会がシーズン中に開催され、横浜中華街で一堂に会したこと。三浦のほか、関本賢太郎、久保康友、岡崎太一ら…それに奈良出身の記者が数名。これがもう、めちゃめちゃ楽しかった。輪の中心はもちろん名誉会長(僕らが勝手に決めた)の三浦。橿原中、高田商時代に通ったスーパーがああだこうだ、あそこの店の何がめちゃ旨い云々。横浜の中心で、おそらく、奈良県外の人が参加してもなんにも面白くない超ローカルネタで盛り上がった。三浦の人柄に惹かれた夜が懐かしい。

 そんな三浦が創設70年を超える伝統球団を率いることになり、この日、横浜市内で所信表明。就任会見でこんな話をしたそうだ。

 「現役で長い間やらせてもらい2年間は外からチームを見させてもらった。自分がしっかりやることは、結束。選手だけでなく、スタッフ、コーチ、一つのチームとして1年間戦っていけるように」

 いま会って話せたら三浦が目指す「結束」の意味を聞いてみたいけれど、おそらく、それが簡単なことでないことを知るから、決意の言葉に代えたのだと想像する。

 A・ラミレス時代がどうだったか詳しく知らない。もし、あの戦力が「ONE TEAM」で「結束」できていたらもっと…なんて臆測で書いたら怒られるか。でもこれって、どこのチームも永遠のテーマなんだろうな、きっと。

 「現役時代の三浦さんはいつも冷静で、味方がエラーしても嫌な顔ひとつせず、優しく声を掛けてくれました。僕、三浦さんが投げているときに結構エラーしてしまったので…。三浦さんの優しさに救われましたし、だからこそ、次絶対ファインプレーで返そうとか絶対打とうって思いましたよ」

 これはDeNA時代、三浦を慕っていた山崎憲晴、現阪神スコアラーの言葉である。

 何でもないエピソードかもしれない。けれど、そう聞いて何だか僕の中ではじけたものがある。すぐ側(そば)にあるのに、今までどこかに置き忘れていた、とても大切なものとでもいおうか。

 今シーズンの阪神は「結束」できていた??よその人からそう聞かれたら、チーム内の者はどう答えるだろう。阪神は結束しているよ。ONE TEAMだよ。そう答える人は何人いるだろうか。

 「野球は個人プレーの連続ですけど、深い部分で共に闘うことが必要なんです」。阪神球団本部長谷本修から聞いた言葉が響く。=敬称略=

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