本部長がトイレに立つ理由
【10月5日】
大山悠輔のベストアーチについてああだこうだ前回の当欄で書いた。ボク好みというか「軌道のエグさ」で通算54号を至極の1本に選んだけれど、これはシーズンオフにでも本人に確かめてみたい。
もう一つ確かめてみたいのは、低弾道でバックスクリーン左へ飛び込んだ54号のディテールだ。高性能弾道測定器「トラックマン」で〈飛角度〉〈打速〉を知れば、その軌道の希少さが分かるような…。打者の右、左は違えど、金本知憲が03年日本シリーズで放ったサヨナラ弾のそれと比べたくなる惚れ惚れする低弾道じゃないか。大山の最高傑作をマニアックに掘り下げてみたくなる。
さて、この夜、岡本和真に並んだ24号ホームラン…久々に4番に復帰した大山の通算56本目のアーチをどう評価しようか。
キング争いでトップに並ぶG戦の決勝弾だから、チームにとってそして、阪神ファンにとっても格別な1本になったと思う。
在阪スポーツ各紙は高橋遥人のプロ初完投とともに大きな扱いで報じるのは間違いないけれど、僕は悠輔本人がお立ち台で明かさなかった、打球そのものの自己採点も聞いてみたい。コロナ禍の取材規制で、リアルタイムで、それが叶わないのはもどかしいが。
ここからは、ちょっとした「ベンチの裏側」の取材である。
阪神球団本部長の谷本修は試合中「流れを変える」ためにトイレに立つことがある。
基本的に全試合、現場に一番近い席で試合を見届ける谷本だからどうしてもゲームの「流れ」には敏感になるのだろう。
劣勢に限らず、優勢であってもそこに停滞感が漂えば、甲子園ならバックネット裏の球団本部席を立ち、トイレへ向かう。
もちろん生理現象だからその限りではないのだけれど、谷本が試合中に席を立てば、勘ぐり屋の当方は思わず、「あぁ、これは…」なんて考えたりするわけだ。
実は、谷本は最近、大山の本塁打を見ていなかった。
僕がベストアーチに選ぶ通算54号=今季22号(9月29日の中日戦=甲子園)は大山が六回先頭でかっ飛ばしたものだけど、谷本はイニング間にトイレに立ち、あの低弾道を見逃している。もちろん、VTRで確認し、何度も映像を見ているはずだけど、僕から言わせていただくと谷本のミスジャッジ…いや、そうじゃないかも。
もしかしたら谷本は験を担いだ可能性もある。「私がトイレに立てば大山が打つ」-そんな念じかも…。いずれにしろ、取材が及ばない今、これを軽々に書くことはできない。
ちなみに、大山が今カードの初戦に放った直近の23号も、谷本は本部席に座っていなかった。
これについては、おそらく球団の残務に追われていたのでは…と勝手に推測するけれど、詳細については要取材。何の話やねん…と思われるかもしれないが、個人的にこういう取材、キライじゃないもので。では、この夜の大山弾…谷本の所在は?=敬称略=