1000倍返しを期待して

 【9月22日】

 「半沢直樹」が次週いよいよフィナーレを迎える。どんな「1000倍返し」か楽しみだけど、注目されるのは、やはり視聴率。あの〈お化けドラマ〉にどれだけ近づけるか…なんて考えてみたり。

 高視聴率をたたき出せば決まって比較されるのが、37年前の朝ドラである。今回も「半沢」の記事を見る度に「おしん」が…。

 連想ゲームみたいになるんだけど、「おしん」といえば、筆者の同級生…。いや、冗談じゃなく、「おしん」の子供時代を演じた女優・小林綾子は立命大95年卒業の同期生なのだ。残念ながら(?)友達にはなれなかったけれど、学内で〈ナマおしん〉をよく見掛けたし、入学式も卒業式もメディアが押し寄せ、オトナになった「おしん」の晴れ姿を撮影していた。

 同じ大学、同門…面識がなくても、それだけで肩入れする。あるあるだけど、僕もちゃっかりその一人で、小林綾子も、ナイナイの岡村も、倉木麻衣も、棚橋弘至ももちろん、虎唯一の日本一監督・吉田義男も…テレビで見掛けると勝手に親近感を抱いている。

 いやぁ、坂本、惜しかったな…いや、それをここで書いちゃダメか。坂本は坂本でも、誠志郎ではなく、裕哉。そう、DeNA先発のルーキー坂本裕哉である。

 ご存じ昨秋のドラフトで2位指名された即戦力左腕だ。彼は立命大で飛躍を遂げ、4年春にMVPと最優秀投手賞、ベストナインなど関西学生リーグの賞を総なめ。プロでも2ケタ勝てる。複数スカウトを取材すれば、そんな呼び声も高かったので、面識もないのに勝手に肩入れし、阪神に来い…ひそかにそう願っていた。

 後輩よ、すまん…。

 きっと、先輩はそんな言葉を掛けていたんだと思う。

 阪神の2点リードで迎えた四回1死一塁。7番・戸柱恭孝の遊ゴロを木浪が捕球できず、一、三塁のピンチを迎えたシーンである。 併殺コース…無理でも一つ。そんな当たりだっただけに、見ているこちらはガクッときたわけだけど、このピンチで高橋遥人がピシャリ後続を絶ち、木浪を救った。その直後ベンチへ戻った木浪は遥人のもとへ歩み寄り、何やら語りかけていた。二人は亜細亜大の同門で、木浪が遥人の一つ上。悪かった…。取り返す…。そんな思いが口をついて出たのかも。

 しかし野球というスポーツは怖いもので、この回は切り抜けたものの、ミスは流れを変える。続く五回、この失策によってDeNAは1番からの巡りに変わり、遥人は3番T・オースティンに逆転3ランを献上してしまうのだ。

 坂本よ、すまん…。

 これは、六回。糸井嘉男に同点打を浴び、坂本裕哉の勝ちを消した山崎康晃の思いである。康晃といえば、亜細亜大で木浪の2つ上で、遥人の…もう、いいか。

 九回、阪神は木浪の素晴らしい守備で最後を締めた。後輩を勝たせたかった…いや、遥人を勝たせなければいけないゲームだった。そんな木浪の面持ちが見てとれた勝利の輪だった。=敬称略=

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