中日さんなら丁寧に…

 【9月18日】

 旧知の阪神ファンの方からメールをいただいた。これが本当に長文で、当欄よりはるかに文字数の多い、熱い思いが記されていた。実はこの人、金本知憲と親交のある方で、タダ者ではない。

 「開幕前にウチを優勝と予想する評論家が結構いたように、打者の外国人が当たれば、優勝、または優勝争いできる戦力だと思っていました。金本さんが種をまき、矢野さんが花を咲かせる…そんな淡い期待を抱いておりました」

 アメリカの名門投資銀行出身で現在は都内在住の資産家。タイガースを「ウチ」と呼ぶあたり、ホンモノである。

 読売新聞の訪問販売員を自宅の居間に上げ、「あなたがデイリースポーツの販売員なら100部購読するけど」と説教した(?)強烈な逸話を持つこの人だけど、普段はとてもバランス感覚に優れたジェントルマン。虎が絡めば、ちょいと人格が変わるだけで…。

 巨人が敗れ、大山悠輔の20号グランドスラムで逆転したこの夜だから、さぞかしご機嫌かと思いきや、「伝統の一戦なんて言葉を恥ずかしくて口にできない」と、前カードへの〈苛立ち〉がなかなか収まらない。怒り、悲しみ、やるせなさを僕にぶつけるわけだ。

 ちなみに大山はご贔屓の選手のようで、梅野隆太郎とともに「ウチを引っ張ってくれている」と、すこぶる評価が高い。

 気分一新、名古屋ですよ。

 あっ、中日新聞さんの販売員が来られたら、どうするんです?

 「中日さんならインターホン越しに丁寧にお断りするだけ。説教はしませんよ(笑)」

 なんてアホな会話も交えながら冷静に〈中間総括〉するのだ。

 陽川尚将の先制弾、大山の2発で、阪神のチーム本塁打数は76試合で80本を超えた。この数は現時点で巨人に次ぐセ・リーグ2位。昨年は同94本(セ5位)、一昨年は同85本(セ最少)だから、100本を超えれば3年ぶりだし、もしこのまま花火の勢いが増せば、セ最多本塁打も夢じゃない-。

 この方は、何を言いたいか。

 欲しかった舶来大砲が手に入った。和製大砲も覚醒の感がある。

そして何よりも、今季「伝統の一戦」の本塁打数は巨人11本に対し阪神16本。それでも対戦成績は4勝12敗。長打力ではひけをとらない。ここまでの敗因は何や?と。

 球団関係者もよく知るこの資産家は今春の宜野座キャンプに3度来訪した。(うち2度は東京から日帰り)例年は4度訪れるが、今年はコロナ禍で減らしたという。

 「もっと厳しい顔つきで練習をしてほしい。守りも、走塁も…。秋の勝負所で読売に勝つためにさ…。新しい助っ人はどうですか?大山は期待できますか?」

 僕あのとき、大山はやりますよ!と言い切ったものだから…平気で金本にも噛みつくこの方から説教されず、ホッとしている。

 「オレが主力の間はずっと巨人に勝ち越す…そんな気概をもって戦って」。これが悠輔へのリクエスト。名古屋でも、願いはもはやG倒一色なのだ。=敬称略=

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