ノリとリズムじゃないか
【9月11日】
阪神の失策数の多さをああだこうだ書いておきながら、なんやねん。お前も失策しとるがな。しかも、めっちゃイージーなやつを。そんなツッコミをいただいたかもしれない。きのうの当欄である。
DeNA戦でイニングの表裏を間違えてしまった。このキャリアで、このエラー。恥ずかしいやつです。朝、紙面を見て顔から火が出そうになりました。デジタルは消せるけれど、印刷の活字はずっと残る。前夜先発の斎藤友貴哉が2死から四球を与えたのは二回表ではなく、二回裏でした。お詫びして、訂正いたします。
気を取り直して、この夜の甲子園である。西勇輝の素晴らしいテンポで進んだ今季の70試合目は、終わってみれば無失策ゲーム。七回に糸原健斗が捕球できなかった難しい打球があったが、記録はヒット。九回に大山悠輔の送球が少しそれたが、リクエスト検証でアウトに…。最後までスコアボードにEランプを灯さない完封劇で貯金を2つに増やした。
一方、カープ側に立てば、失点に絡む坂倉将吾の送球エラーが一つ。負けに不思議の負けなしで、70試合目の星を落とし、借金は8つに増えた。
失策を少なくするには、どうすればいいと思いますか?コーチが悪いのですか?
今夏始めたツイッターで虎党の皆さんから、そんな質問がよくある。が、答えに困ったりする。
「『ミスをするな』と言えば高確率でミスをするように人の脳はできてる。ミスを意識させるのではなくて、どうやったら上手くできるかを意識させることができれば自ずとミスは減る。それを理解してる指導者が世界にはどれだけ少ないことか」
これは、僕がフォローする本田圭佑のツイートである。なるほどとは思うのだけど、なかなか哲学的なので、パクって自分のものにできそうにない。
チーム失策数の増減について、阪神球団本部長・谷本修と雑談レベルで議論したことがある。
「ひと言、ノリとリズムじゃないですかね…。西勇投手のようなリズムの良い投球であれば、野手のノリも良くなるはずですよ」
谷本はそう言う。確かによく聞く。投手がリズムよく、テンポよく投げれば野手は守りやすい。逆に投手のテンポがダラダラで、逆球が多ければ、野手も回を追うごとに疲弊する。ミスが生まれる。つまり、この夜、大山や近本光司が繰り出した好守は必然だった…ということになる。
皆さん、阪神の今シーズンの無失策試合って、どれくらいあると思いますか?
70試合中、32試合です。
では、この日も無失策で勝った原巨人の無失策試合は?
69試合中、54試合。
(ちなみにカープは、70試合中38試合)
梅野隆太郎とのお立ち台で、西勇の口から「リズム」という言葉が何度も出てきた。近いうちに、西勇登板日の失策数について書いてみようと思う。=敬称略=