暗闇坂を100本走る
【9月8日】
急きょ家族が入院することになり、前カード巨人戦を休載させていただきました。前触れのないものに準備はできないのでバタバタしたけれど、これも何か意味があることだと受けとめ、前向きに!
前触れないものといえば、めでたいことがあった。
ほんまに、おめでとう!
「ありがとう!」
本並健治との電撃結婚を発表した丸山桂里奈である。
お相手については、かねがね…いや、噂レベルでしかなかったので、知ったかぶりはできない。
丸山とはサッカー担当時代に知り合い、親しくさせてもらった。
なでしこジャパンのメンバーと何の繋がりもなかったのに?なぜ??よくそう聞かれたのだけど、彼女と話すようになったきっかけは、この業界あるある…。
あれは、12年。ロンドン五輪を目指す丸山を単独インタビューした際に、〈共通の知人〉の話題で大いに盛り上がったからだ。
「野球担当してたんですか?私福留さんにお世話になって…」
丸山は、米国のクラブへ移籍した2010年に知人を介し、当時シカゴ・カブスで活躍していた福留孝介と出会った。仲間で食事をともにし、球界一流のプロ意識に心酔した彼女はすっかり孝介ファンに。互いに日本へ復帰してからは、福留がプライベートで丸山の公式戦を観戦するなど、交流をもつようになった…というわけ。
「風さん、相談なんだけど…。引退の記念に、デイリーさんで福留さんと対談させてもらえたら嬉しいなって思っていて…」
前触れなく現役引退した丸山からそんな連絡をもらったのは、16年の冬。彼女のオファーを福留に伝えると、「いいね」と二つ返事で快諾。トントン拍子に話が進み17年のデイリースポーツ正月紙面で異色対談が実現したのだ。
丸山「福留さん、すごく若いから、絶対50歳まで現役してるよ」
福留「絶対やらねえよ(笑)」 兵庫県内のホテルで対談は大いに盛り上がったのだけど、その後バラエティー界の人気者になった丸山は、今も変わらず福留が活躍するたび大喜びしているのだ。
さて、この夜の九回である。代打福留のスイングを語るなら、本人はもどかしいはずだ。俺が決める…そんな気概を感じた43歳の強振に、しかし僕は今も夢を見る。昨季ハマスタで打率・357。この球場は通算・326と得意なだけに、決めてくれなきゃ。50歳とはいわないけれど、丸山と期待感を共有するのだから、次は…。
かりちゃんが走っていたあの大田区の坂、なんて名だっけ?
丸山「暗闇坂だね。距離は200メートルくらいあったと思うよ」
結婚に無関係の話でも、丁寧に応じてくれる。それが彼女だ。
日本代表で世界一に…そんな野心で暗闇坂を毎日100本走り続けた根性は、天然キャラしか知らない読者にも知って貰いたいエピである。努力家にしか努力家の努力は分からない。福留のそれが分かる丸山にもっと聞いてみたい。結婚に関係ないけど。=敬称略=