「外れ外れ」から3年

 【8月4日】

 毎年この時期に夏休みをいただく。1週間ほどペンを置き、決まって沖縄の離島へ飛ぶのだ。目的は特にカッコいいものでなく、ただただ、八重山の山海に囲まれること。でも、今夏はいかない。

 めちゃめちゃ残念だけど、いかない選択に迷いはなかった。八重山に触れない夏は何年ぶりだろうか。この春触れた薫りをもっとやきつけておけば良かったかな…。

 2月、阪神のキャンプベース宜野座を離れ、石垣島へ飛んだ。近年私的に恒例にする千葉ロッテキャンプ取材である。

 2軍監督の今岡真訪と2時間ほど話した。話題は若手育成から組織論まで。彼も立場上言えないことのほうが多いので、こちらがツッコんだ話を振れば、逆に見解を求められることも多い。

 興味深かったのは安田尚憲について。今のポジションに就いて3年目になる今岡はドラ1安田をルーキー時代から見てきたわけだけど、初年度から育成方針はブレなかった。

 「安田ですか?基本、こっちから何も言いません。もしあれこれ言う人間がいたら『言うな』と言います。あいつは放っておけば必ず出てきます。見ててください。3年目、1軍にいますから」

 このコメントは18年2月、石垣島で記した今岡取材のメモから。

 3年目で1軍の…いや、今やロッテで4番を張る安田が大阪に凱旋した夜である。この日の安田は京セラドームのオリックス戦で山本由伸から先制打を放ち、故郷に錦を飾った。打率は一時期1割を切ったけれど、4番に座ってからの12試合は打率・341。今岡と一蓮托生の井口資仁は安田を4番に育てあげる決意があるのだ。

 安田といえば、17年秋のドラフトを思い出す。1位指名の清宮幸太郎をクジで外した阪神は、外れ1位で安田を指名。しかし、地元履正社の大砲とも縁が無く、結局外れ外れ1位で馬場皐輔の交渉権を獲得した。清宮&安田…東西の恋人を逃した当時は虎党がタメ息をついたけれど、今はどうか。馬場は3年目の今季、めでたくプロ初勝利を挙げ、ブルペンで貴重なピースに育ったわけだから。

 その馬場が八回にビッグイニングを献上してしまった巨人戦である。拙守が重なり4失点も自責は0。何だかモヤモヤした敗戦であり、三塁ベンチ原辰徳の〈してやったり感〉が憎らしくもあり…。

 そういえば、17年度ドラフトで清宮&村上宗隆を外した巨人が4位指名したのが、北村拓己だったっけ。この人、開幕3戦目の阪神戦でプロ初ヒット、初打点。なにもプロ初本塁打まで阪神戦で打たんでも。終わってみれば勝負を分けた八回の起点も北村の一撃から?虎キラーにならんといて!

 そんな北村クンと亜細亜大で同期だった高橋遥人(17年度ドラフト2位)が明日先発するそうなので、遥人にはぜひとも同門&同級生対決を制してもらいましょ。

 清宮、安田を逃したT。清宮、村上を逸したG。3年前の因縁が交錯する3連戦になりそうな。=敬称略=

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