乙武ツイートに触れて…

 【7月29日】

 連日ツイッターのハナシを起点にするけれど、懐かしい友人と連絡をとった。

 「ぬおお、風さん!めちゃくちゃご無沙汰しております!」

 乙武洋匡である。

 僕が乙武のツイッターをフォローして声を掛けると、おそらくビックリ顔で、返信をくれた。

 出会いは、彼が早大卒業後スポーツライターとして活躍していたころだ。米フロリダ州の取材現場で意気投合し、以来、会えば喋るようになった。祝い事でビデオレターを送ってもらったり、プライベートでもお世話に…。大ベストセラー『五体不満足』で文筆道を突き進む乙武のことが、同じライターとして羨ましくもあったけれど、彼が教員の道を歩み始めたころから疎遠になってしまった。

 ツイッターを始め、彼のつぶやきを毎日目にするようになった。

 YouTubeチャンネルでは鳩山由紀夫と対談し「友愛外交」にツッコミを入れたり、noteでは「死」について語ったり。

 元気にしているんだ…というか週刊誌で不倫スキャンダルが報道された後の〈ダメダメな〉乙武洋匡について気になっていたのだけど、相変わらずのバイタリティーで、これがまた羨ましく…。

 最近の乙武ツイートで一番共感できたのは、藤浪晋太郎ら阪神選手がコロナ感染したときのもの。

 「『どこで感染したかによって話が変わってくる』などと、とにかく誰かを叩きたくてウズウズしているかのようなコメントが散見されるけど、まずは体調を気遣う社会でありたい…」

 晋太郎の感染が確認されたとき僕は当欄で「同情する」と書いて読者から「甘いだろ」とご批判のお手紙もいただいた。後付けでなく、タイムリーにここで感情を表現するのは難しい…そう思っていたので乙武のつぶやきが響いた。

 さて、単独2位浮上がお預けになったタイガースである。20点大勝の前夜、スタメンで唯一ヒットのなかった大山悠輔が、この夜は唯一のタイムリー。会心でなくとも、こういう結果がビタミン剤になることもある。きょうにも規定打席に到達する彼だけど、それこそタイムリーにつぶやくならば、みんなが打ったときは沈黙してもいい。みんなが打たないときに…そんな思いで悠輔の打席を見つめるオッサン記者なのだ。

 そうだ。乙武といえば著書をいくつか読んできた僕だけど、彼の言葉で好きなものがある。

 「人生ってゴルフと正反対だと思う。ゴルフは効率よく、いかに少ない打数でカップの中にボールを入れるかという競技ですが、人生は何打、打ってもいい。逆に失敗しながらも、多く打った方が学びがあり、考えが深まったりするのではないでしょうか」-。

 あまりに多い“ボギー”は許されないプロ野球の世界だけど、許される時間のなかで大小の失敗を糧にすればいいじゃないか。悠輔がたくさんの殻をぶち破って、押しも押されもせぬ4番に育ってほしい。20点のち1点…そんな夜に考えるのだ。=敬称略=

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