努力は報われるべき

 【3月15日】

 ニッポンの総理が開いた会見をニュース番組で聞いていると、センバツ高校野球の中止に触れていた。「連日厳しい練習に打ち込んできた学生の皆さんの悔しい気持ちは察するに余りあります」-。

 こればっかりは、この上なく、察するに余りある。コロナ禍によるセンバツ開催の可否が議論されるたび、野球だけ特別視するのはどうか…のような議論が渦巻くけれど、そんな悲しい問答はこれっきりにしてほしい。無実の球児が責められているようで、やるせない。全ての競技に取り組む子ども達の気持ちと同等に、高校球児が負った心の傷を考えてみたい。

 実はこの3日間、阪神がオープン戦(対オリックス)を戦う京セラドームへは行かなかった。阪神球団からマスコミ各社へ「担当者であっても極力人数は最小限にしてほしい」旨の「お願い」がリリースされた為、虎番でない当方は自粛。甲子園、鳴尾浜の周辺をウロウロしていた。京セラで取材する虎番から「大山悠輔が連続試合安打を6に伸ばした」と聞けば、明日にでも開幕してほしいなんてボヤきたくもなる一方、甲子園の外周を歩いても、この時期から賑やかになるセンバツの装いが感じられないのは寂しい限りである。

 「救済というのは語弊があると思いますね。彼らの努力に対して努力は報われることを示してあげたいという思いはあります。八田会長も何か考えたいと仰っていましたので、窓口は(甲子園)球場ですが、私も賛意を示しました。早くこのパニックが収まらないと夏の予選にも支障が出かねないですよね。答えはないですが…」

 センバツ出場を決めた球児への救済案は何かないものか。この日阪神球団本部長・谷本修に尋ねると、そんなふうに答えた。先般の会見で日本高野連会長の八田英二は「何らかの形で甲子園に来ていただけたら」と発言。その思いに谷本もうなずいていたけれど、満点の答案があるはずもなく…。

 谷本にも話したのだが、この問題への私見を書かせてもらうなら当方は「夏の大会の出場校を増やすこと」を挙げる。ガチャガチャややこしいルールはナシ。センバツ出場が決まっていた高校が地区予選で優勝したら文句なしだし、もし優勝できなくても、夏の優勝校ととともに両校出場。〈春夏連続代表〉の地区は1校になるので70数校になると予測できる。

 赤星憲広ら何人かのプロ野球OBとほぼ同じ意見だが、反対論があることも知る。主催者も異なれば、日程的にも厳しい。ただ、どんな案を挙げようが、必ず壁はある。だから、思案する。ここは、プロ野球が傷心の球児たちを救う手だてはないものか、と。センバツを勝ち取った球児の努力に敬意を表し、球界がONE TEAMとなって〈超法規的〉措置を採る…そんな道を探れないだろうか。

 「識者や街の声を借りて自ら語らない客観報道は受け手の心に響かなくなっている」-宜野座キャンプ中に読んだ沖縄タイムス「大弦小弦」の言葉を思い出し、自ら語ってみた次第…。=敬称略=

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