見せながらREVIVE

 【2月23日】

 首里城へ行ってきた。がれき撤去が始まってちょうど2週間。想像とはまるで違い、観光客で賑わっていた。当方の沖縄滞在も残りわずか。「世界遺産」の再興過程をどうしても見ておきたかった。

 正殿が全焼した昨秋から100日が経過した。城内の総合案内所で聞いたところ、首里城公園の開園エリアは昨年12月には8割まで回復。被害の甚大なエリアは立ち入り規制が続く一方で、観光客の安全を確保しながら開放エリアを拡大。一般見学を可能にすることで、完成まで期間限定の観光資源とする狙いもあるというのだ。政府や沖縄県は「見せながら再建」をうたうが、果たしてどうか。

 サッカーJ2のFC琉球は今季のスローガンをJ1昇格へのプレーオフ進出と、首里城再建への願いを込め「REVIVE 琉球再興!」とした。再興、復権…プロ野球の世界でもよく使う。もちろん「築城」の話ではないけれど、首里城が沖縄県民の心の拠り所であるように、それが象徴的な存在であればあるほど、人々は「REVIVE」を切望するのだ。

 琉球史の観光ガイドが当欄の職務ではないので、本業へ…。

 さて、広島とのオープン戦である。僕が「REVIVE」を願う選手がここに二人いる。一人はこの日、途中出場で3安打2打点。カープの堂林翔太だ。今年プロ11年目を迎える28歳に話を聞きたくて広島ベンチへお邪魔した。

 「僕のバッティングの土台って新井さんなんですけど、今回、新井さんが(解説業で)沖縄へ来られているときに僕の特打をケージの真後ろから見てもらって、少し相談させていただいたんですよ。そうしたら新井さんから『今、お前が意識していることを、もっと極端にやってみたらどうだ』って言われて。それをやってみたら、良い時の感覚に戻ったんです」

 これで今キャンプの実戦は20打数10安打で打率は・500。堂林は「意識していること」について深掘りして語ってくれたけれど、残念ながら、ここで技術論を分かりやすく論じるスペースがない。だから、彼のREVIVEの際には必ず、詳しく書きたいと思う。

 そしてもう一人は藤浪晋太郎。堂林と同じく、ご存じ、甲子園優勝投手である。この日は2番手で登板し、2回で41球を要した。3四死球の内容に晋太郎は「結果を出さないといけない立場なので」と神妙だったけれど(これが適切な筆かどうかはシーズン中に判断してもらうとして)僕の目には紙一重に映った。野間峻祥に投じた初球の内角直球がボールと判定されたのだが、これがストラ…いややめておこう。堂林の猛打賞だって3安打目は会心だったけれど、1安打目は詰まりながら運んだものだし、2安打目は打球がサードベース横で大きく跳ねた。REVIVEへの助走(序奏)は運も大事であり、紙一重だったりする。

 スターは「見せながら再建」を強いられるものだけど…そうだ、もう1人気になる甲子園優勝投手がいる。沖縄滞在も残りわずか。彼に会いに行こう。=敬称略=

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