捕手は小柄が強み?

 【2月19日】

 僕の好きなサッカー選手が先日ユニホームを脱いだ。都内で行われた引退会見へ沖縄から駆けつけたかったくらい。W杯優勝の立役者になったヒロインへ、「お疲れさまでした」と心から伝えたい。

 元なでしこジャパンFW大野忍である。彼女は引退会見で最も印象深いゴールを「ロンドンでのブラジル戦の得点」と即答した。ロンドン五輪の12年といえば、僕がサッカー担当へ異動し、なでしこジャパンを追い掛けたシーズン。元なでしこ番がエラそうに〈大野の凄み〉を語るならば、世界大会で体格のハンディをまるで感じさせなかった希代の技術だろうか。

 大野の身長は公称156センチ。当時のなでしこジャパンでいえば、澤穂希が165センチ。丸山桂里奈、鮫島彩はともに163センチ。小柄な宮間あや、川澄奈穂美よりも大野は更にサイズが小さかったのだ。

 大野との思い出がある。

 W杯優勝を飾り、国民栄誉賞にまで輝いた彼女に当時「今一番会いたい人」を問うと、「マツコデラックスさん」と、意外な人を挙げた。僕はプロ野球担当時代のコネクションを最大限に活用し、マツコデラックスに直筆サインを依頼。「なでしこ大野忍さんへ」と添えてもらい、本人に手渡した。

 「マジっすか!本当にいいんですか?めちゃめちゃ嬉しい~」

 自分に無いマツコの体格に憧れた…わけではないと思うが、子どものようにはしゃいでくれた大野の破顔は今も忘れられない。

 あれから8年、今後指導者を志す大野は「どんな選手を育てたいか?」と問われ、こう語った。

 「身長が小さい選手に対して、それを不利と思わないで、それを強みとして最大限、良い選手になれるというのを伝えていきたい」

 小さい強み……である。

 「昨日ね、福原忍とそういう話してたんですよ。阪神の選手でいうたら、お前、誰になりたい?って。僕は迷わず藤浪晋太郎。あれだけの体格、ほしいですもん」

 公称170センチの男前コーチ藤井彰人は言う。「170?それ、サバ読んでますから」と笑う藤井はおそらく166~7センチくらい。現役時代は球界一小柄な捕手として

その捕球技術を称えられていた。

 やっぱり、プロ野球選手は大きいほうが有利?小柄は不利??

 「僕ね、プロへ入ってからは、そんなに身長欲しいと思わなかったんですよ。今のキャッチャー見てください。ホークスの甲斐、ウチの梅ちゃん…小柄な選手多いでしょ。あるスカウトから聞いたことがあるんです。『○○高校のキャッチャー、すごくイイ選手やねんけど、デカいからな…』って」

 昔より球種が多彩になった今の野球に於いて、捕手はステップワークが命。小柄なほうがしゃがんだ時に構えが地面に近くなるし、大柄よりも脚の可動、捕球術で有利になる…これが、男前理論だ。

 でも、藤井は藤浪になりたい?

 「だって、160キロ投げてみたいもん(笑)」。なるほど、剛腕投手に憧れるわけね。あぁ、そういえば、阪神ルーキー捕手の藤田健斗…小柄だなぁ。=敬称略=

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