「勝ちます!」の賀状

 【1月6日】

 阪神タイガースの年賀式に参加した。球団職員が一堂に会した甲子園球場のラウンジで幹部らと新年の挨拶を交わしたわけだけど、毎年この日は皆さんの顔が希望に満ちあふれ、何だか清々しい。

 挨拶に立った球団社長の揚塩健治が「前回の東京五輪の年はタイガースがリーグ優勝している」と語ったから…ではないけれど、連載4年目になる当欄のデザインも「TOKYO 2020」にあやかり、一新してみた。縁取りのカラー=青・黄・黒・緑・赤は、いうまでもなく五輪シンボルの配色なのだけど、皆さん、この5色の意味合いをご存じだろうか?

 5つの輪は、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ、オセアニア5大陸の団結を表現しているといわれるが、どの色がどの大陸を指すかは特定されていないという(諸説あるそうだけど)。

 今年1年間、五輪が閉幕しても当欄は年末までこのデザインで通しますので、どうか2020の黄といえば虎となりますように…。

 さて、当方も仕事始めである。我らが虎が逆転CSを勝ち取った旧年はどちらかといえば、ユニホーム組よりも背広組とよく話をさせてもらったシーズンだった。

 かつての阪神球団社長・南信男(現球団顧問)から「記者は取材が鉄則。取材しない記者はこっちも相手にしたくない」とよくいわれたものだけど、取材対象の皆さんが集う年賀式に見つめ直す。ウーロン茶で乾杯した後、球団本部長の谷本修に聞いてみた。

 昨年の当欄のなかで、反論したくなる原稿ありましたか?

 『取材ノート』を欠かさず読んでくださっている谷本は「う~ん…」と記憶を辿りながら、「一度だけありましたね」と指摘した。

 聞けば、なるほど。鳥谷敬の…いや、ここで書くにはスペースが足りない。互いに言い分はあるのだけど、谷本の見解はいつも説得力があるので、こちらも唸る。

 その一度だけでした?

 「はい、それだけでしたね。他はとくになかったですよ」

 当欄は、矢野燿大が尊重する選手の「自主性」について注目してきた。否定をしたことは一度もないけれど、「難題である」とは書いてきた。今年も矢野阪神の主題にかわりはないと思うので、谷本の見地を確かめておいた。

 「矢野監督からすれば、昨シーズンはいわば実験ですよね。やる選手はやるし、やらない選手はやらない。やっぱり、やった選手は結果を残していますから。みんな分かりますよね、馬鹿じゃない限り。矢野監督はそれを狙っていたのではないですかね」

 今年はそのステージが上がる?

 「はい。秋季キャンプあたりから、ライバル意識、闘争意識がすごく出てきていると思いますよ」

 そう語る谷本、そして揚塩、球団を率いる両者がともに年賀状で綴った決起文が奇しく一致していたことも記しておく。

 勝ちます!

 そう言い切っていた。取材者の胸が高鳴る五輪イヤーである。=敬称略=

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