鷹城を拝み、虎城を思う

 【11月6日】

 安芸の練習を夕刻まで見届け、高知城へ向かった。日暮れとともにライトアップされた天守閣を見上げながら、400年の歴史を有する南海の名城がかつて大火によって消失した歴史を思う。

 なぜ、鷹城(高知城別称)を拝みたくなったかといえば、この日高知新聞の社会面でこんな見出しを見つけたからだ。

 高知城 消火態勢に不安-。

 首里城の大火災を機に文化財の防火対策がクローズアップされている昨今、初期消火に威力を発揮するスプリンクラーが設置されていない同城の課題を指摘する原稿である。配管工事に耐えられる強度の有無や、スプリンクラー誤作動のリスクなど、全国の文化財に共通する悩みを抱えるという。

 20数年前、日本史で点数を稼いで志望大に受かった(?)当方は今も歴史建造物に目がない。大学時代、サッカーの合宿で初めて高知県を訪れ、練習後、真っ先に向かったのが高知城。徳川家康から土佐一国を拝領した山内一豊が大層ディフェンシブに築城、万全のセキュリティーを敷いた-なんて薄っぺらい知識なら、かろうじて引き出しから取り出せたりする。

 手の込んだ重要文化財は県の宝であり、シンボル。首里の悲劇は対岸の火事ではない-高知新聞はそう訴えているのだ。きょう告示される高知県知事選では争点にならずとも、新知事には是非「鷹城を守る」取り組みも………なんてかなり虎から脱線してしまった。 さて、本線へ。

 「虎の守り」については、きのう少々突っ込んで書かせてもらった。日本一に輝いた鷹軍の19年失策数は「68」(虎は「102」)とやはり少ないわけで、矢野阪神の命題ははっきりしている。

 この日も安芸では、久慈照嘉、藤本敦士、2人の内野守備走塁コーチがサブグラウンドで特守のノッカー役を長時間担っていた。

 「人それぞれにミスの仕方がありますから。当然、守備の基本はありますけど、それをクリアしている選手もいる。選手個々で色んなパターンがあるので、今回、レポートを提出させて、自分で何が足りなかったのか、自覚している部分と、こちらが思っていることを共有する。書いたことに責任を持たせて、直させるという…」

 この秋、守備部門のコーチが向き合うべきものは何か。そんなことを聞けば、藤本はそう語った。

 「多くノック受けることも当然必要です。ただ、数を受けたから上手くなるわけじゃない。どれだけ強く意識して練習に取り組むことができるか。多く球を受けました…だけでは自己満足。もう一つレベルを上げるために意識が大事です。数を受ける中で、どれだけその意識を置けるか。そこを担当コーチとして求めていきます」

 藤本は目の色を変えて言う。

 新守備コーチ?この部門に関しては要らないと僕は思っていた。だって、もしそんな人が来たらコーチングが一見、見栄えのするパフォーマンスになりかねない。築城に時間がかかろうとも牙城がホンモノになればいい。=敬称略=

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