ポストさんを読んで…
【10月28日】
「週刊ポスト」(小学館)今週号の表紙にこんな見出しが躍る。
阪神ファンに贈る
デイリースポーツの
痛快一面
50年史
当欄でたくさん中身を紹介したいところだけど、ポストさんに叱られそうなので、少しだけ…。
あのR・バースの阪神入団が決定的になった83年12月某日のデイリーは、1面で「虎バスが来る」と大きな見出しを打った。
バースではなく、バスである。そもそも、バースの綴りはご存じ「BASS」。正しい読み方はバスなのに、なぜ、登録名は「バース」になったのか。などなど…。 「今年も優勝できずにガッカリしたタイガースファンの皆さん!これを読んで溜飲を下げてください」と、グラビア美女の続きでカラー8面も割いてくれたポストさん。「何があっても阪神」を貫く「デイリースポーツ」の1面は阪神の歴史そのものだ-と我が紙の誇りを〈宣伝〉してくれている。
え?「ポスト」を読んだけど、溜飲を下げ…られない?
ところで、ファン心理ってどうなんだろう。矢野政権1年目でCSファイナルSまで進んだのだから「よくやった」という方が大半なのか。それとも、「今年も巨人に負け越したんだから」等、やはり不満の声が多いのか。全虎党にアンケートできるわけじゃないので、安易に、ファン心理に寄り添って…と書くのはキケンである。
いずれにしろ、阪神はもうスタートを切っている。チームは明日高知へ入り、明後日、秋季キャンプ初日を迎えるわけだけど、ファンの秋の楽しみは何だ?藤浪晋太郎の再起?大山悠輔の発起?上本博紀の巻き返し?それとも…。
個人的に目に留まったのは、僕と同じ71年生まれの新打撃コーチ井上一樹の言葉である。
「朝から晩までいつでも付き合う。ただ、そういうものが見えない者は俺は放っておく」
思い返せば4年前、監督就任会見に臨んだ金本知憲は理想のコーチ像について、「情熱のあるコーチ。練習に付き合うコーチです」と語っていた。「技術指導に長けたコーチ」「打てるようにするコーチ」とは一言も語らなかった。矢野も同じ思いを共有していると聞いたが、「もうええやろ…」と井上を困らせるほどの選手が出てきてほしいし、井上に限らずコーチ全体がそんなスタンスであってほしいと願う虎党は多いはずだ。
日本シリーズでソフトバンクに1勝もできなかった巨人の将・原辰徳は「かなり高い壁はある」と言った。12年連続で巨人に勝ち越しのない阪神にとって、日本一の壁は「果てしなく、高い」。
ドラフトで1~5位まで高校生を指名した虎である。僕の取材の限り、今オフ阪神がFA戦線に参加することは、ない。つまり、大型トレードをやらない限り、未知数の外国人を獲得すれば〈大戦力として期待できる〉補強は終了。現有戦力の底上げ…虎党が溜飲を下げるのは、それがホンモノになったときに違いない。=敬称略=