金スマをみて、西を思い…

 【10月21日】

 丸山桂里奈から連絡があった。「今から『金スマ』見れる?」。運転中だったので、カーステのチャンネルをTBSに合わせると、丸山が泣いていた。涙のワケが気になって、結局、最後まで…。

 ご存じ、中居正広司会のバラエティー番組である。今回はゲスト丸山の半生を描いたドキュメンタリーで、そこに彼女の天然キャラ(?)を織り交ぜながら、笑いと涙を誘う…てな感じだった。

 「なんか本来のキャラと違うよな。作られているような…」

 全て視聴してから連絡してみると、丸山は「ハハハ…」と笑っていた。「金スマ」に限らず、タレント丸山桂里奈=変わった人…みたいな設定になっちゃっているけれど、芸能界で生きるには、それなりに、〈演じる〉必要もあるのか。個人の視点だから余計な筆は控えるけれど、〈僕の知る〉丸山という才能溢れるサッカー選手は鳥谷敬並みの努力家であり、原口文仁並みの良識人なのだけど…。

 イメージとリアルのギャップ…それこそ、プロ野球でドラフト指名された新人につきもの。特に甲子園を沸かせた選手はTVの中のイメージが全てなので、プロになった彼らと実際に話し、取材してみて、へぇと感じることが多い。

 楽しみは、虎のドラ1、創志学園の西純矢である。彼をナマで拝見したのは、甲子園のスタンドから一度きり。大空に向かって体をあずけ、これでもかと雄叫びをあげる。拳を突き上げる、昨夏のあの姿。イメージは、おそらく、大方の読者と共有しているものだ。

 彼は、どんな18歳なのか。

 西の指名挨拶に出向いた矢野燿大は「いい意味で時代遅れのカッコ良さというか。昭和っぽいというか」と、初対面の印象を語っていた。ずっと気になっていたのは高野連から注意され自粛していたあのガッツポーズについて。矢野は「してもいい」と了承したそうだけど、思い返せば、楽天時代の田中将大が「雄たけびやガッツポーズはやめるべき」と沢村賞の選考委員から注意を受けたことがあった。ルールではなく不文律のハナシ。メジャーでは云々…よくいわれるが、この種を語るとき、いつも思い出すエピソードがある。

 カープで中堅だった頃の新井貴浩が、ガッツポーズを自重していた時期があった。それを見ていた黒田博樹は「やれよ。お前が打ってガッツポーズをすることでベンチもブルペンも活気づくんだ」と解禁を願ったという逸話である。

 星野仙一は「パフォーマンスがあって野球は盛り上がるんや。いい意味の個性を出しながら感動を与えるのが我々の使命だろ」とマー君を援護したのは有名。敬意は普段の所作や言葉遣いで伝わるもの。勝負の世界でわき出る感情の制限はナンセンスだと僕は思う。

 今後、関西メディアにおける西の露出はハンパないだろう。阪神ドラ1の宿命でもあるけれど、我々が彼を〈TVタレント〉にしてはいけない。周りに作られることのない、彼本来の個性を報じる使命がある、と自らにも言い聞かせたい。=敬称略=

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