ミラクルは、起こる前に…
【9月28日】
現行のCS制度を冷めて見ている。なんて僕のホンネを書けば、あと2勝!と盛り上がっている虎党に失礼だろう。もちろんCSを最後まで諦めない現場の姿勢に水を差すつもりもない。けれど…。
本心なので曲げては書けない。
プレーオフをやめて欲しいとは思わないので、是非、新CSを作る議論をするべき…当欄でずっとそう書いてきた。アイデアを載せたこともあるけれど、もしかしたらこの意見は少数派なんだろうか。
というのも、現CS制の存続に異論を唱えても、あまり読者からリアクションがないのだ。(今季は違うけれど)たとえ借金を抱えていようが、ご贔屓のチームがCSへ進めばやはり大半のファンは喜ぶのか。もうそろそろ現制度を一区切りにし、新制度を……しつこいけれど、我が阪神が終戦して書けば負け惜しみに聞こえるのであと2勝した暁に、もっと声を大にして書こうと思っている。
リアクションといえば、読者の反応が最も大きかったのは今年も藤浪晋太郎に触れたときだった。
晋太郎をテーマに書くと、決まってお手紙を沢山いただく。今年0勝の彼だけど、それでも当欄は先日〈良かった〉と書いた。
甘やかすなよ…なんてお叱りは一切ない。不思議なほど(?)ネガティブな指摘はないのだ。
僕が晋太郎をネガティブに書かないのは、彼をかばいたいからではない。「Sクラスの素材」をどのように施せば阪神にとって有益なのか。モノサシは一つである。
藤浪のココが違う、アレが物足りない…なんて書くことで、彼が復調し、阪神の台所が潤うならナンボでも書く。けれど、そうはならないのだから、書かない。
ではポジティブに書けば復調するのか?そんなふうにツッコまれると、未来は神様にしか分からないというしかない。「叩く」ことが当欄の役割だとも思っていないし、それ以上に、今シーズンも背番号19を取材してきて、彼はきっと復調すると感じるので、それこそ、ウソはつけないわけで…。
ラグビーW杯で日本がアイルランドを下した。「アンビリーバブル」と称えられた大金星だけど、ラグビーに限らず、誰も予期しなかったことが起これば、その〈奇跡〉が起こった後に「いや、実は勝機はあったのだよ」なんて書くのは性に合わない。だからこそ、〈ミラクル〉は、起こる前に「起こるんだよ」と書きたい。
僕は今春のキャンプ中に「藤浪が19年の開幕投手であるべきだ」と書いた。そうではなかったので当方の見立ては現実とズレがあったということ。でも、20年の2月も同じことを書きたいな…。
西勇輝の2ケタ勝利を予想(計算)した虎党は沢山いたと思う。では、晋太郎が0勝に終わった19年の秋に「20年は2ケタ勝てる」と予期する者はどれくらいいるだろうか。晋太郎が復活したときに「オレは勝つと思ってたよ」と書くのはくだらない。だから、そう書ける根拠を探しながら、この秋を過ごしてみたいと思っている。=敬称略=