矢野は笑っちゃダメなの?

 【8月11日】

 朝から晩まで、どのチャンネル回しても、シブコ、シブコ、シブコである。女子ゴルフ北海道meijiカップで奮闘した全英女王の「シンデレラスマイル」がスポーツ界の話題をさらっている。

 一年前まで世界ランク563位だった渋野日向子(しぶの・ひなこ)が一躍時の人になった。ゴルフに疎い人でも、彼女のニックネーム「シブコ」を近頃よく耳にすると思う。岡山出身で練習拠点は兵庫県のゴルフ場。関西住まいの当方なんかは、単純だからそれだけで身近に感じてしまう。

 この度、凱旋試合が北海道北広島市で開催されるというので、札幌で暮らす本紙の日本ハム担当が急きょ応援取材に駆り出された。

 「いやぁ、こっちの盛り上がりはホントにスゴいです。渋野さんって会見中も終始笑顔なんです」

 元阪神担当の彼と話せば、既にシブコの虜になっている様子。

 「バーディーが取れれば笑います。シンデレラスマイル?それは関係なく、自分の思い通りに笑いたいです」-。首位と5打差の9位で2日目を終えた渋野はそんなコメントを発し、この日の最終ラウンドに臨んだ(結果は本紙の紙面をご覧ください)。全英女子オープンの快進撃で彼女のスマイルが世界に注目されたようだけど、「シンデレラ…」なんて名付けられると、ちょっとこそばゆいのかもしれない。好きなように笑わせてよ-がホンネだろう。

 笑えば、力が出る。そう語るアスリートは多い。聞くところによると、渋野は高校時代までイライラを顔に出してプレーしていたという。しかし、プロの夢を叶え、冷静に自己分析した結果、そのムシャクシャした顔つきが「ボギーにつながる」ことに気付いたそうだ。「プロゴルフは見せる競技。ギャラリーの方に楽しんでもらうためには、私が心の底から笑顔でプレーしないと。みんな楽しくない」。そんなコメントを紙面で読んだ。どこかで聞いたような…。

 「最近、点が入っても笑顔が少なくなってきましたよね。ガッツポーズもあまりやらなくなったんですか?」。カープベンチでそんな見方をする面々がいた。試合中モニターとにらめっこしているわけではないので、正否は判断できない。「そう?」と返事しておいたけれど…。ほら、出たやん。大山悠輔の2点打、植田海の決勝点で矢野ガッツ。今もやってるよ!

 「100人中100人の賛同を得ることなんてできないんだよ。トライしないと、賛否だって分からないことだろ。俺は個人的にすごくいいトライだと思うけど」

 その風貌はシブコと180度違うけれど、彼女と同じ岡山出身、カープ2軍監督の水本勝己と話をしてきた。矢野と同い年の水本は昨年ウエスタン・リーグで「超積極」野球と相まみえた。「矢野ガッツ」について話せば、「やめる必要はないでしょ」と力説する。

 借金を抱えてやってる場合か?そんな意見が確かにある。じゃ、聞きたいんだけど、負債を抱えるチームはずっとムシャクシャ顔で戦わなきゃダメ?=敬称略=

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