三振キングが台風の目?

 【8月7日】

 フランシスコ、レキマー、クローサーが同時発生したという。昨年の今ごろは大型のチェービーが日本列島を襲ったけれど、今回は3つの渦が一気だ。どうか大暴れしないで…とお願いしたい。 

 台風の話である。

 当欄でその名の由来を紹介したのは、チェービーが近づいた昨夏のこと。まるで無知だったので調べてみると、台風の名前は、14カ国で運営する台風委員会であらかじめ準備されているのだとか。

 この度、日本に接近した3つは8号のフランシスコ=人名、9号のレキマー=ベトナム産果実、そして10号のクローサー=カンボジアで鶴を意する。因みに一年前のチェービーは「燕」だった…。

 今シーズンのプロ野球で当欄の目算が外れたのは、燕軍団の戦績である。緒方カープの連覇に貢献した石井琢朗と河田雄祐、2人のコーチが就任して2年目。ヘッドコーチ宮本慎也の指導も奏功し、頭も体も鍛えられたチームはきっとセ・リーグで台風の目になる。元々、打力でいえば12球団屈指。投打に新風が吹けば面白い…そんな想定をしていたけれど、やはり誤算はつきもの。ケガ人に泣いたり、主軸が低調に陥ったり…。

 逆に、燕の嬉しい誤算といえばご存じ、19歳、村上宗隆だろう。彼は17年度ドラフトで1位(清宮幸太郎の外れ1位)入団。九州学院時代から、その非凡な才に定評があったのだが、こんなに早く頭角をあらわすとは…。ヤクルトの環境が水に合ったのだろうか。

 村上はこの夜の1発で堂々、ダービーでW・バレンティンと渡り合う。神宮で村上にフルスイングされると、オッサン記者はもう怖さしかない。彼に気持ち良く振らせるな…なんて、どだい無茶な要求なんだけど、それでも…。

 村上はとにかく振る。

 その〈代償〉はセ・パ最多120を超える三振数に表れているのだが、この数字は大山悠輔の約2倍である。村上の〈思いきり〉は若さ所以かもしれない。それでもこの〈思いきり〉が大砲育成のヒントになるのでは?そう思って燕のクラブハウスへ続く導線でヘッドコーチ宮本慎也に聞いてみた。

 三振を恐れずに振れ-。

 村上の育成方針にはそんなアプローチもあるのか?

 宮本は少し笑みを見せながら、首を横に振った。

 「あれだけ三振して堂々と帰ってくるのはどうかと思いますし、

そこは難しいところなんですよ」

 なるほど。宮本は村上が「プロの1軍選手」であることを大前提に〈厳しい目で〉19歳をホンモノに育てようとしているのだろう。

 ならば、大山はどうなのか。

 村上と争うくらい三振すればいい!とは、言っちゃダメなのか。 これは僕が〈外野〉だから書けることかもしれないけれど、やはり、阪神の若き4番には、三振を恐れてほしくない。

 残りは40試合になった。大山には、これまでの倍ペースで三振が増えても…なんてオッサン記者はつぶやいてみる。=敬称略=

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