松山で観た「魔裟斗」にならう

 カープが心配だ-なんて4月アタマに書いた僕は今、どんな穴に入ればいいだろうか。虎を3タテした鯉は7連勝で貯金6。巨人とのゲーム差がついになくなり、4連覇への視界が開けてきた。

 緒方カープが4連覇??なんでやねん。まだ44試合やないか!と虎党からお叱りをうけそうだ。

 44試合を終えたってことは残り100試合を切ったってことだ。長くこの世界で仕事をしているとシーズンはあっという間だけど、今年は特にそう。なぜって〈ご存じの読者も多いと思うが〉今季の虎は雨天中止が1試合もない。ちなみに天候にたたられた昨季はナント雨天中止が15試合もあった。球団の営業部はとくに御天道様に感謝、感謝だろうけど、梅雨前にちょっと心配な?データがある。

 中日に敗れた首位巨人と勝率4厘差に肉薄したカープは明日(21日)の結果次第で、開幕以来の首位に躍り出る可能性が出てきた。 6月アタマ迄に首位を奪えば、そのまま突っ走る。これが最近3年間の〈カープ優勝の法則〉である。ちなみに、昨季は4月24日に首位に立ち、そのまま一度も陥落せず3連覇を達成。一昨年は5月28日に首位を奪って独走。3年前は6月5日に首位に躍り出て、25年ぶりのVまでひた走った。

 だから、この時期カープに首位を渡せば……と、密かに危機感を覚えるオッサン記者である。

 こんなふうに書けば、もっともらしく聞こえるかもしれないが、実は阪神だってそうなのだ。前回優勝の05年は6月9日に首位を奪って以降一度も譲らなかったし、03年の星野阪神は4月18日から首位を明け渡すことはなかった。

 さあ、残り99試合である。まだまだ、99試合もあるのに、さあ!と書くのはおかしいかもしれないが、例年、梅雨入り前に優勝チームが“決まる”とするならば、正念場の掛け声は必要なのだ。

 きのう、矢野燿大イズムについて僕の思うところを書いた。きょうも一つ書いてみようと思う。

 およそ1カ月前のこと。松山遠征の際の取材である。宿舎でのミーティングで矢野は選手全員を集め、格闘家・魔裟斗を描いた録画映像をともに鑑賞した。

 魔裟斗は格闘技を始めた頃から世界王者になることを決め、負ける相手も、引退試合の相手も全てはじめから決めてきた。俺たちもみんなで優勝していい思いをするまでのビジョンを先に描こう-。

 選手個々の受け取り方、感想を聞けば「良いことも悪いことも、最後に待っている良い結果の為には全部必要なことだから、悪い時も前を向いて頑張ろうという監督の思いが伝わりました」というものだった。

 カープに3連敗。甲子園で5連敗。もちろん屈辱だし、受け入れ難いけれど、これも最後に笑う為に必要な屈辱であり、後々きっと前向きな材料になる。矢野は選手たちにそう伝えたい。

 今こそ、優勝する為のビジョンを描こう。さすが3連覇王者、カープの壁にぶち当たった現実に感謝すればいいのだ。=敬称略=

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