こすっちゃ入らない東京D

 【5月15日】

 近本光司の「小顔」がデイリー虎番の間で話題になった。今まであまり気に掛けていなかったが、よく見てみると、確かに小さい。木浪聖也だって小顔でスマートに見えるけれど、近本と並ぶと…。

 ヒトの進化なのか、やっぱり、平成生まれの若人はみんな顔が小ぶりである。均整の取れたスタイルは小顔が条件だし、羨ましい限り…なんて感心していると、僕の目前に昭和の小顔があった。

 「え?ワシか?おう、ガキの頃から顔が小さいって言われとったよ。よう言われるもんやから『首から上に栄養がいかないんや』って言い返しとったんや。小顔は今どき??知るか、そんなもん」

 7月で70歳になる川藤幸三である。さすがに取材エリアでルーキーに向かって「あなた、小顔だねえ」なんて軽口をたたけないので阪神のOB会長を取材してみた。

 いやぁ、会長、羨ましい!ちなみに、頭のサイズ、何センチです?

 「54・5センチや。あのな、頭が小ちゃいからいうて何にも得はないぞ。昔『暴れん坊将軍』に出演したときに、ワシの頭に合うカツラのサイズがなくて、特別に小さいのをつくってもろた。それとな、歌舞伎の世界では顔が小さいのはNGや。理由?そら顔が小さかったら舞台映えせえへんやないか」

 なるほどです。損はあっても、得はなしか。当人に聞いてみないことには分からないもんだ。

 我々は「○○らしい」「○○のようだ」では原稿は書けません。近々、球場外で近本に聞いてみようかな。小顔で得したことを…。

 バッターにとって東京ドームって得な球場だよ。だって、こすってもスタンドに入るじゃん-。

 この業界にそんなこと言う人がいるようだけど、ほんまかいな。

 5点のリードがジワリジワリ…いやぁ、石川慎吾の打球が左翼席ギリギリに飛び込んだときはイヤな感じがした。でも、これだってこすって入った一発じゃない。詰まったけれど、しっかりバットを振り切られたから被弾したのだ。

 「こすってスタンドへ入るなんて、ないですよ。僕、東京ドームでホームランが出やすいなんて思ったことないですもん。それだったら、ハマスタとか神宮のほうがまだ出る気がします。例えば、甲子園と比べるなら、東京ドームは左中間、右中間が奥まってないので、そういうところへは入るのかもしれないですけど。僕の感覚では、やっぱり、芯の近辺でちゃんと打って、いい角度で上がらないとなかなか入らないですよ」

 7号3ランを放った丸佳浩は僕にそう話した。丸のこれまでの球場別本塁打数を調べてみると、東京ドーム=10本、甲子園=10本。全く同数である。ちなみに横浜=19本、神宮=18本。なるほど。

 42歳の弾道に痺れた夜である。「阪神の福留孝介」にとって東京ドームで通算8本目の本塁打がGに傾きかけた流れを呼び戻した。福留は本拠甲子園で27本、横浜で11本、神宮で11本。なるほど。

 丸の言うように、特別「お得」な球場ではない東京ドームで空中戦を制した虎に拍手!=敬称略=

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