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誇りであり、最高傑作

 【12月11日】

 金本知憲の殿堂入りを祝う会に招かれた。国内屈指の高級ホテルに900人超。盛大に催されたパーティーで金本の〈恩人〉幾人かと話をした。その1人、平岡洋二は着慣れないグレーのスーツを身にまとい広島から参席。「きょうの会が(ジム定休日の)火曜日で良かった」と笑うので、「いえ、いえ、この会だけは仕事を休んででも来なきゃダメでしょ」と、白々しくツッコませてもらった。

 豪華な来賓の談話は番記者の記事を読んでいただくとして、当欄は平岡という人に触れてみたい。平岡といえば、鉄人の代名詞になったウエートトレーニングの指導者で、広島市内にあるジム「アスリート」の代表である。僕の知る限り、現役時代の金本と最も長い時間を過ごした人物。プロ1年目から師事した金本にとっては、いうまでもなく特別な存在だ。けれど、そろそろ30年の付き合いになる両者の間柄を問われれば、不思議と〈師弟〉という堅苦しいものではない。教え子が名球会に入ろうが監督になろうが、平岡は昔から親しみを込めて金本を「キンタ(金太)」と呼び、殿堂入りしても変わらない。一方の金本は度々平岡をイジって楽しんだり…この間には時に軽ノリの空気が流れるのだが、それでいて揺るぎない信頼が2人を結びつけているのもまた外から見ていると面白い。

 平岡にとって、金本への指導は「生き甲斐」だった(と決めつける)。この度の表彰は我が事のように嬉しいはずだが、さて、殿堂入りを決めた金本の数々の勲章を平岡はどれほど認識しているのだろうか。著書『金本知憲の真実』を出版している平岡である。金本の偉業で知らないものはないだろう。そう思い、あえてこんな日に聞いてみた。「カルト・K」だ。

 NPBの歴代安打数1位は張本勲だが、大卒に限れば1位は金本である。これは易しい。では、平岡に問題。長いプロ野球史において、先発4番(打者)連続試合の最長記録は誰でしょう?①王貞治②金本知憲③松井秀喜…。「知らんけど…金太か?」。正解。金本は880試合連続でスタメンで4番を張り続け、これがNPB記録である。2位はアレックス・ラミレスの469試合。3位は松井の415試合で、王は111試合だからその凄みが分かるはず。連続試合フルイニング出場と並び、きっと、この先塗り替えられることのない永久不滅の勲章なのだ。

 この夜の主役、金本は「その記録は知らなかったな。じゃ、03年に3番打ってたのは、もったいなかったか?」と笑っていたが、個人記録に疎い本人が強くこだわる数字でなかったことも確かだ。

 「40歳になっても衰えなかったもんな…」。平岡は感慨深げに言った。師匠に改めて聞く。あなたが誇れる金本の偉業は何ですか?

 「40代でもパフォーマンスが落ちなかった身体作り……だな」

 なるほど。では、最後に…。現役21年間、苦楽を側で見守ってきた〈金本知憲とは何〉ですか?

 「誇りであり、最高傑作」。=敬称略=

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