新オーナーのご意見を…
【11月10日】
とある業界最大手の経営者から当欄に意見が届くことがある。以前も触れたことがあるが、その人物は僕の中学時代の同級生。10代の頃はよく自宅にもお邪魔した旧友である。CMのメロディーを聞けば誰でも口ずさめる大企業のリーダーは、先般の阪神タイガースのお家騒動を憂うのだ。
「報道の通りなら、ちょっと考えられない」と…。
先月10日の「解任劇」から、はや1カ月が経った。矢野燿大体制の虎は爽やかに始動し、若い力が秋の安芸でしのぎを削っている。
「本当に矢野さんの思うようなチームづくりはできそう?」
その彼はまだ、阪神に対して半信半疑だ。組織の母体、その足元がふわふわしているようでは現場運営のトップが気の毒だという。
彼に限らず、毎日あちらこちらから当欄への「ご意見」をいただく。電話やLINE、そしてお手紙…。阪神球団、本社、OB、他球団の幹部や選手、アマチュア球界、日本サッカー協会、映画音楽界、お笑い芸人から80代の読者まで、それぞれ阪神再建への主義主張があってとても参考になる。
「あの原稿、胸がスカッとしましたよ」
え??いつの原稿?
「タイトルは、名もなき…え~っと、何の現在地でしたっけ?あれは、その通りだと思います」
「あ、あれ…」
当欄を「毎日読んでいます」という雑誌Numberの編集者からご意見をいただいた。旧知の彼とは互いの原稿を〈おふざけで〉ほめ殺し合う仲だけど、今回は珍しくまじめな反応を頂戴した。
タイトルは「名もなき面々の現在地」(10月28日掲載)。ドラフトを題材に書いたものである。
阪神の今秋ドラフトを「失敗」と評するネット記事を見掛けたので、僭越ながら「反論」を掲載した次第。確かに、甲子園のスターも、大学のビッグネームも居ないけれど、ドラフト直後に成否を語るのはナンセンスでは?そんな語調で綴らせてもらった。
一昨日、当欄でゴールデングラブ賞の梅野隆太郎について書いたが、あの日、僕は京セラドームにいた。試合終了が22時を過ぎた社会人野球日本選手権を観戦し、虎のドラフト1位、近本光司(大阪ガス)をじっくり拝見した。
プロ野球を取材するようになって20年。これまでも全国的に「名もなき」面々と出逢ってきたが、プロ入り直前の彼らを眺めるときプレーよりも立ち居振る舞いに目がいく。正直、活字でしか実績を知らないので逆にそこにしか目がいかないのだ。あまり書くと近本の重圧になるので静かにしておくが、彼のそれを見るにつけ、滅多に利かない僕の鼻が…。間違いなく矢野好みの選手だし、今からプロデビューを楽しみにしている。
安芸キャンプは第3クールがスタートした。今クールは、新たにオーナーに就任する藤原崇起が視察に訪れるので、僕もそろそろ安芸へ向かう。いつでも当欄にご意見をいただけるよう、しっかり挨拶させてもらわねば。=敬称略=