あの日は…第1回編成会議の日

 【9月16日】

 梅雨どきの話を書く。今年6月27日…この日が阪神にとってどんなものだったか、覚えているだろうか。聞けば、嗚呼…と思い出す方はいらっしゃると思うが、さすがに日付まではカルトQか。答え…藤浪晋太郎がここ横浜で今シーズン2勝目を挙げた日である。

 5回5失点でも勝てた-。

 翌日、デイリースポーツはこんな見出しで藤浪の勝利を称えていた。その試合、陽川尚将の適時打で先制するも、DeNA宮崎敏郎の3ランを含む5連打を浴び、5失点。しかし、その直後に福留孝介の逆転3ランが飛び出し、16安打17得点を奪ってカムバックを期す背番号19に勝ち星を贈った。

 あの5失点…3カ月経って記録だけ振り返ると、なんだ、5点も奪われたのか…と思われるかもしれないが、僕は〈悲観する必要のないタッチ〉で当欄を書かせてもらった。恐縮だが、宮崎のホームランは甲子園なら間違いなく右飛…事故のような右翼スタンド最浅への飛球だったし、失点を招いた連続四球だって、球審によっては違う結果になるようなもの…。

 投手コーチ香田勲男の見方を否定するつもりはない。誤解なきようそれだけは断っておくが、僕は今季の藤浪は「大丈夫」だとずっと思っているし、ずっとそう書いてきた。そりゃ、10回投げて10回勝てる投手なんてまずいないわけで。5回投げて3勝2敗、2勝3敗…いや、例え1勝4敗だとしても、一年間ローテーションで投げるべき不動戦力だと思っている。

 もっといえば、こんな藤浪に誰がした…なんて考えたことも一度もない。藤浪とはちょくちょく話すけれど、そもそも彼自身、ここ最近の不甲斐なさ、悔しさを「誰かの責任…」などとは思っていないのだ。これは古き悪しき「阪神あるある」だけど、有望な選手が低調になれば、周辺がすぐに責任の所在をあら探しする。今に始まったことじゃないけれど、そんな論調を聞く度に辟易する。

 藤浪の結果が伴わなければ、藤浪の責任。ほかでもない、本人がそう感じているのに、外野がアレコレ騒ぐから、話がややこしくなるわけだ。なんてたって、そんなヤワな男じゃないですからねぇ。

 なんと、復帰戦でグランドスラムである。大阪桐蔭時代、甲子園でも豪快にオーバーフェンスした彼らしいじゃないか。メンタルが…なんて心配せんでいいんです。ほっときゃ帰ってくるんだから。

 6月27日以来の3勝目…あ、この日付、今年の虎にとってもう一つ大事なできごとがあったのだ。ナイターDeNA戦で藤浪が勝利する8時間ほど前、昼の1時から横浜市内の阪神宿舎で今季第1回の編成会議が行われていた。もちろん金本知憲も出席している。戦力補強だって当然、議題に上がっていた。ドラフト、いや、もしかしたらFA戦略だってターゲットは先発投手…いや、大砲もか。当時はロサリオの不振でナバーロが来日し、大山悠輔は2軍だった。

 藤浪は大丈夫…。3カ月前、いや、いつ編成会議があっても出席者にそう伝えたい。=敬称略=

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