あまり趣味もなかったので…

 【9月12日】

 安室奈美恵のインタビューで涙腺が…。朝ドラ『半分、青い。』の続きでNHKの「あさイチ」を見ていると、安室ちゃんの独白とともに「#ALLFOR916」の文字。なんでも、彼女とゆかりのあった有志企業によるプロジェクトのタイトルなんだとか。

 916とは、彼女が引退する9月16日。今度の日曜日??あっ、藤浪晋太郎の復帰登板だな…なんて考えながら、心地よく、インタビューの安室語録を追ってみた。

 「格好いい歌手になりたいと思ってデビューして、引退するときにそういう歌手になれたかどうかは…もう、皆さんの判断ですね」

 安室奈美恵がソロデビューした95年といえば、僕がデイリースポーツに入社した年。思いきり「世代」なもので、熱心なアムラーが「ロス」に浸るのはよく分かる。

 20歳で結婚、出産、1年の活動休止…あれは仰天だったけれど、当時の心境にも触れていた。

 「あのときは、1年間って長いな…って。『長い』と思った瞬間に焦りが押し寄せてきて、自分のポジションって何だろう…って」

 J-POP、R&Bで圧倒的、絶対的な存在だったので、1年くらい…外野からはそんなふうに映っていたが、本人の感情はまったく違ったようで。休む怖さ…というやつか。そんな本人の思いは知らなかったけれど、あのステージは感動した。長期休養を終え、復帰したのは98年のNHK「紅白歌合戦」。号泣しながら『CAN YOU CELEBRATE?』を熱唱する姿に、もらい泣きしたファンも多かったと思う。

 あれから20年…。時の流れは早いもので、こちら野球界では、20年前に超高校級と騒がれた左腕がこの日、涙の引退表明である。

 壇上で声を震わせた杉内俊哉は“忘れられない試合”を問われ、「巨人1年目のノーヒットノーラン」を挙げた。彼の野球人生で最初のノーノーは鹿児島実業時代に甲子園で達成した98年。鮮烈だった20年前の夏をよく覚えている。安室ちゃんは「悔いなくやりきったという思い」と語ったが、杉内は「もっとできたんじゃないか」など、「悔い」も隠さなかった。

 「現役時代は趣味がなかった」と振り返る金本知憲でさえそうだったように、「悔いなく」引退する選手がほぼいないことを考えれば、今を生きる若虎には「もっともっと」と激励したくもなる。

 引退後やりたいことを聞かれた平成の歌姫は「思いつかない…。あまり趣味もなかったので」と笑っていた。そこは金本の生きざまと重なったけれど、やはり仕事一本の現役生活だったのか。後悔なき人生には犠牲が伴うのだろう。

 格好いい野球選手になりたい-誰もがそんな夢を描いてプロの世界に飛び込む。この夜、6号3ランを放った大山悠輔だってそうだと思う。安室フィーバー、その夜明け前に生まれた23歳。こちらが勝手に肩入れする彼だけど、昨季は年間7発だったので、あと2本はノルマ…そう願う。大山の趣味??取材不足なので、近いうちに聞いてみたい。=敬称略=

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