コミュニケーション不足って?

 【6月19日】

 仙台で梨田昌孝の辞任を目の当たりにしたばかりだが、サッカー日本代表も監督の電撃解任を経てW杯本番を迎えた。成績不振の楽天とは違い、ハリルジャパンのそれは根が深かったと聞いている。

 以前ここで書いたが、僕はハリル一人に責任を負わせたJFAのやり方には違和感を覚える。だって、その理由が「選手とのコミュニケーション不足」という外部の人間にとって「真実」の見えにくい、実に曖昧なものだから。そもそも、コミュニケーションなんて双方的なもの。協会が統括者(=監督)を任命した時点で選手が…いや、書き出すとキリがないのでやめよう。ひとまず、あと2戦、西野流の戦い方に注目したい。

 さて、ロシアへの興味が尽きないが、こちらは甲子園。戦い方といえば…ロッテ新監督、井口資仁のそれにはずっと注目している。名選手、名監督にあらず-とは古今東西よくいわれるが、果たして井口は名将になれるのか。彼が描く逆襲の設計図に興味がわく。

 日ごろ接する金本のビジョンは輪郭が見えるけれど、面識のない井口のそれはよく分からない。でも実は…少しだけ、身近にある。なぜなら、井口の腹心(=右腕)と昔から付き合いがあるからだ。

 「僕のカラーなんて要らないんですよ。このチームは1、2軍とも井口監督のカラー。組織とは、そういうものだと思っています」

 そう語るのはロッテ2軍監督、今岡真訪(まこと)である。ご存じ、昨季まで阪神の2軍野手総合コーチを務めた男。個人的にウマが合うので、2月にキャンプ地の石垣島へ彼を訪ね、一緒にメシを食った。実をいうと、金本はゆくゆくは今岡を…いや、それはもう少し時間を置いてから書きたい。

 昨年ロッテは屈辱的大差(首位と39ゲーム)で最下位に沈んだ。3年前の金本と同じように井口は劇的な変革を託されたわけだが、今岡によれば、井口ロッテは抜本的な「組織改革」へ向け、まずは快調なスタートを切ったそうだ。

 「僕の考えとして井口監督に伝えたこと、意識してもらったことは、勝利を目指すのは当たり前のこと。その上で『(1、2軍の)組織で勝った』といえるチーム作りが井口監督の仕事…そういう共有作業は昨年秋に終わりました」 今岡が言いたいことはよく分かる。ここからは僕の取材で書かせてもらうが、彼は2年間、内側から阪神の1、2軍を見ていて言い知れぬ違和感を感じていた。誤解を恐れず書けば、今岡のいう「組織で勝つ」理念は空疎化し、2軍は離れ小島…もはや「別の国」になっていた。例えば選手育成の理念を1、2軍が「共有」しない現状…これを阪神球団が看過すればどうなっていたか。「方法論の相違」とは全く別の議論である。

 いま、金本は2軍監督の矢野燿大に全幅の信頼を置いている。復活の鐘が鳴る藤浪晋太郎、20日に先発するドラ1馬場皐輔の成長過程など、僕の知る限り金本はずっと矢野と共有してきた。組織で勝ちたい…金本も井口も頼りがいある同級生と共に歩む。=敬称略=

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