「意図伝わった」-それが能見の答え

 【3月14日】

 この日を楽しみにしていた…といえば、大げさに聞こえるかもしれない。でも、内心少しドキドキしながらプレーボールを待っていたのはホントのことだ。まだまだオープン戦やん。確かにそうだ。でも大げさではなく、今季を占う意味で、この試合はとても意味のあるものになったように思う。

 番記者の記事をご覧の通り、能見篤史の女房役は梅野隆太郎だった。熱心なファンの方はお気づきだと思う。キャンプから能見の対外試合はこれで3度目だが、梅野とのバッテリーは初である。初戦は2月21日の起亜タイガース戦(韓国)で捕手は原口文仁。2戦目は今月4日のソフトバンク戦で捕手は坂本誠志郎だった。いつ梅野と組むのだろう…。そんな興味をもって能見の出番を待っていた。

 なぜ、そこに注目するのかといえば、そりゃもちろん、梅野が「チーム能見」の一員だから。え~誤解のないように書いておくが、原口や坂本と組んで欲しくないなんて思わない。僕の関心は、能見の梅野に対する「信頼度」に向いている。ぶっちゃけ、誰と1年間バッテリーを組みたいと感じているのか。本音がとても気になっている。能見と梅野はキャンプ前の2週間、同じ釜のメシを食う自主トレ仲間。もちろん愛情ありきなんだけど、だからこそ、見方が厳しくなるものもある。そのあたりの繊細な空気感は本人たちにしか分からないけれど、さて、18年の「初コンビ」はどうだったのか。

 バッテリーのコメントは番記者に委ねるとして、僕の見方は〈ほぼこれで決まった〉である。3月30日のプロ野球開幕まで2週間ちょっとだけど、輪郭ははっきりしてきた。能見の女房役は梅野だ。

 5回、自責0。被安打は3だが完璧に捉えられた当たりは0。数字もさることながら、山田哲人、ウラディミール・バレンティン、青木宣親、畠山和洋ら主力が顔を揃えた打線に的を絞らせない配球は◎。それに試合後、能見本人の弁を聞いてフムフムと納得した。

 「もう少し試したい部分はあったんですけど、梅の(配球の)意図はしっかり伝わりましたよ」

 課題は尽きないけれど、背番号14は納得していた。そう感じる。

 数字だけで比較すると、能見は昨季3人の捕手とバッテリーを組み、梅野とは18試合で防御率3・48、坂本とのそれは4試合で6・00で、岡崎太一と組んだ1試合は1・00。そんな結果が残る。

 14年目の能見は5月で39歳を迎える。円熟期に磨きをかけるには「女房」の献身性は欠かせない。「僕は梅に対していつも愛情はないですよ」と左腕は笑うけれど、その言葉こそが愛情の裏返し。ずっとお前と組みたい。俺にそう言わせてみろよ…くらいのもどかしさが、少なくとも昨季までは能見の胸中にあった。坂本と組んだ3回6失点の前回登板は表面上は不安いっぱい。でも、一戦ごとの悲喜を語るのは周囲だけでいい。

 今年一年間、梅野は能見の信頼を得られるのか。それとも…。年がいもなくドキドキしながら次を楽しみに待ちたい。=敬称略=

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