脅威…燕の足は鯉の色

 【3月13日】

 リクエスト制度も考えもんだ。そう感じたファンは多いのではないか。今季から導入される新制度だけど、中断時間がこれだけ長くなると、見ているほうは萎える。プレーの詳細は番記者の記事をご覧いただくとして、この日の阪神対ヤクルト戦では序盤から2度もゲームが中断。プレー後、審判団がグラウンドを離れ、映像を確認し、最終ジャッジを下すまでの時間は2プレーで計9分30秒ほど。「公正」を求めて有意義なルールになれば素晴らしい。ただ、このルールを来季以降常設するのであれば、検証時間そのものを短縮する何らかの策はないものか…。

 何でも1年目は試行錯誤がつきもの。カメラの機能、台数、角度…最新技術を駆使して、文字通りルール《改正》になればいい。

 それはさておき、2桁失点したヤクルト戦である。偶然にも「リクエスト」に絡むプレーは2度ともメジャー帰りの大戦力、青木宣親のバットから生まれたものだ。最初は三回の二ゴロ併殺プレー。2度目は四回満塁からの左前打が呼んだ本塁クロスプレー。リプレー検証の結果いずれも判定が覆ることはなかったが…。まあまあ、検証云々はともかくとして、僕は試合の分岐点になったこの四回をアナログ検証してみようと思う。

 このイニング、西岡剛が2つ失策している。完全に打ち取っていたので藤浪晋太郎には気の毒。ただ、それも野球。4回で自責点は0。まともな被安打は上田剛史の1本のみ…これが僕の寸評だ。酷だけど、あそこで粘りきってこそ藤浪。そう思いながら見ていた。

 いや、書きたいのは阪神の綻びではない。敵失をビッグイニングに繋げたヤクルトの攻撃である。四回先頭、大村孟の打球をショート西岡がはじいて無死一塁。ここで藤井亮太のゴロが、ダイブした鳥谷をかすめてセンターへ転がると、一塁走者の大村はためらいなく三塁へ走った。金本阪神でも徹底されている当たり前のプレー…確かにこれひとつ取るとそうかもしれないが、大村の走塁に象徴される意識改革が随所に見られたことが「燕変身」を予感させた。

 「いくべきところをいっていないプレー(走塁)はまだまだあるよ。でも、きょうも四回に大村がいい走塁をしてくれた。一生懸命やって失敗するのはまだいいから…と選手には言ってあるんだ」

 試合後、ヤクルトの新三塁ベースコーチ河田雄祐に聞けば、そんなふうに語った。読者の方もよくご存じだと思う。河田といえば、昨季までカープの三塁コーチャーとして連覇の立役者となった人。新ヘッドコーチ宮本慎也が注目される燕の新体制だけど、河田の存在は、ジワリジワリと他球団へのジャブになると僕は見ている。

 昨秋のキャンプからヤクルトに合流し、走塁改革を進めてきた河田にその浸透度を聞いてみた。選手の意識改革…昨年11月を「1」だとしたら、いまはどの程度か。

 「気持ちでいうと…みんな100近くまできていると思うよ」。

 新生ヤクルト…下位予想していると痛い目にあう。=敬称略=

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