アクセルの正体を知って…

 【2月18日】

 ノルウェー人のアクセル・パウルゼンという名前を一度でも聞いたことがあるだろうか。生まれは1855年だから日本でいえば江戸時代後期。徳川13代将軍、家定の時代である。そんな大昔の…しかも北欧の??知るはずないやん…はい、虎党の皆さんは知らなくても生活に支障はないかと…。僕は仕事上知っておいた方がいいかなと思ったので調べてみました。

 この名の響きだけは、最近よく耳にしたのではないでしょうか。

 羽生、決めた!

 トリプル・アクセル!

 その「アクセル」の考案者こそアクセル・パウルゼンというスケート選手。1882年フィギュアスケート初の国際大会で当時画期的なアクセルジャンプを披露し、136年経った今なお、羽生らによって進化を遂げる「伝説の技」なのだ。ちなみに、トリプル・ルッツの「ルッツ」はオーストリア人のアロイス・ルッツが考案者だし、4回転サルコーの「サルコー」はスウェーデン人ウルリッヒ・サルコーが初めて跳んだジャンプ…。全て人名に由来している。

 このところ快晴の宜野座で氷上の想像をしてしまう。平昌五輪の熱が完全に伝染しているのだが、アクセルジャンプのルーツを調べながら、ふと考えてしまった。

 野球って人の名がつく投法とか球種、打ち方ってあったっけ?

 「いやあ、どうかなぁ…。思いつかないなぁ…。メジャーリーグでも聞いたことがないような…」

 阪神OBの藪恵壹が宜野座で僕の質問に唸っていた。オークランド・アスレチックスやサンフランシスコ・ジャイアンツで活躍した元メジャーも「思い出せん…」。

トルネードが野茂英雄の代名詞になったことはあっても、カーブやフォーク、チェンジアップ…ナックルは英語で「指関節」だし、あまり人名が球種になることはないか。体操であれば、白井健三の技「シライ」がメジャーになったが、そもそも野球は「技」で得点を競うものではないので、発案者が残りにくいのかもしれない…。

 待てよ。サッカーではオランダの英雄ヨハン・クライフの切り返しが「クライフ・ターン」と呼ばれ、伝説になった。日本のプロ野球ではカープの川端順(83年度ドラフト1位)のパームボールがその独特の握りから「バタボール」と呼ばれていたことはあった。でもまあ、今の世代は知らないか…。

 中田翔、斎藤佑樹、清宮幸太郎…この日の宜野座を賑わせた面々は、高校時代からその名が球種や打撃フォームの由来になってもおかしくないようなスターだった。野球で人名がつくなんてこれから先もない??いや、そうとは言い切れないと思う。アクセルやサルコーだって、まさか自分の技が時代を超えて日本の金メダリストに愛されているなんて思いもよらない。それこそ、こういう類はメディアが名付け親になって市民権を得たりするものなので、もしかしたら虎番の中で発掘者が出るかも…そんな夢のある話を書くのもたまにはいい。アキ・ボール……なんだか響きがいいな。=敬称略=

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