練習試合でも、勝ちたいんや!

 【2月15日】

 星野、星野、星野…。おそらく明日のスポーツ新聞は各紙そんな見出しが並ぶと思う。だからというわけではないが、当連載は前倒しで「星野」…と書こうと思う。

 「『勝ちたいんや!』と星野さんがいつも仰ってましたよね。この時期であっても『勝ち癖をつけなあかんのや』と。あれは本当にその通りで、正解だと思います。練習試合、オープン戦だから負けていいなんて、僕は全く思わないんですよ。どう思われますか?」

 宜野座で阪神球団社長の揚塩健治と話すうちに、互いに星野仙一の名台詞を思い起こしていた。

 キャンプも折り返し点を過ぎ、いよいよ実戦漬けになってくる。これから開幕戦まで練習試合3試合、オープン戦19試合、計22試合の「予行演習」が組まれているわけだが、現場、フロントはこの実戦の意義をどう捉えているのか。揚塩に確かめてみると、星野ばりに「勝ちたい」と言い切った。

 揚塩は今月7日、高知安芸キャンプを訪れ、2軍監督の矢野燿大とじっくり話す機会があった。育成そしてファームという組織に対する考え方を矢野にぶつけたところ両者の認識は一致したという。揚塩によると、2人のやりとりはこんなふうに交わされたそうだ。

 揚塩「矢野さん、ひとつ確認させてください。ファームは育てる場ではあると思うのですが、試合になれば、その一戦を勝ちきること、勝ちにこだわり、ここぞの局面で打つ、また抑えることで初めて力がつくのだと私は思っているのですが、いかがでしょうか」

 矢野「その通りだと思います。育てる過程であっても、勝利度外視ではなく、勝つことにこだわりながらやっていきます。異論はないですし、同じ考えですよ」

 育成の場でも勝つ…それを聞いて4カ月前の「優勝」を思い出した。昨秋宮崎で開催されたフェニックス・リーグ(参加16チームの教育リーグ)で、若手主体の阪神は1試合も落とすことなく10戦無敗でVを飾った。当時監督代行を担った山田勝彦(現1軍バッテリーコーチ)に聞けば「やっぱり、勝てば選手は嬉しいんだよ。僕からすれば教育リーグだから思い切ったこと(作戦)ができたというのはある。ただ、ああやって勝つことで選手も成長したと思うし、皆勉強になったとは思うよ」。山田の育成論は興味深いので追々書こうと思うが、これを聞いても、新球団社長の考え、言いたいことが分かる気がする。揚塩は言う。

 「1軍でも同じで、オープン戦にしろ、練習試合にしろ、勝つことは大事だと思います。ただ速い球を投げる、打つだけじゃない。試合の流れとか、ポイントを見極めて打席に立つ。マウンドに上がる。特に若い選手はそうやって力がついていく…。勝ち癖は実戦で勝っていかないとつかない。それは矢野さんも仰ってましたし、金本監督も同じだと思う。今の時期だって全部勝ちにいくくらいの…私は本当にそう思っていますよ」

 勝ちたいんや…。きょう星野が愛した虎と犬鷲が「勝ち」にこだわる練習試合を行う。=敬称略=

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