「お詫び」からの逆襲
【2月12日】
正月のデイリースポーツにおよそ大学のものとは思えない、エキセントリックな広告が載った。
謹んで新年のお詫びを申し上げます。1月3日 近畿大学-。
なんでも昨年の正月広告で派手に「早慶近」と、近大が早慶と並ぶ3私学であるかのようなキャッチコピーを掲載。「100年早い」などと一部で炎上したそうだ。
広告の但し書きによれば英国の教育情報誌タイムズ・ハイアー・エデュケーションが発表した「世界大学ランキング」で、1000位以内に入った日本のトップ3が早慶近だったとか…。にしても、少し「はしゃぎ過ぎた」こと、また、18年度の最新ランキングで新たに6大学が加わり「早慶近」ではなくなったことを謝罪。シャレた告知に吹き出しそうになった。
新たな6大学に僕の母校立命館がランクインしたことも丁寧に記されてあったが、それはさておき近大といえば、クロマグロの完全養殖でも知名度を上げるなどし、入学志願者数は昨年まで4年連続1位。偏差値でははかれないバイタリティー溢れる学舎というイメージがある。ちなみに日経BPコンサルティング「大学ブランド・イメージ調査」のランキングで、近大は「エネルギッシュである大学」部門でも堂々1位だそうだ。
近大産といえば…虎にもエネルギッシュな男たちがいる。今キャンプ2度目の紅白戦、そのメンバーを見渡すと、紅組の6番センターに俊介。広陵-近大と名門を辿ってきた彼は昨年、規定打席未到達ながら打率・309と本領を発揮し、もはや金本構想に欠かせない存在である。で、もう1人…。
近大4年時にリーグMVP、最優秀投手、ベストナインの三冠に輝いた、あの男である。日本ハム時代の06年に投手から転向し、今年で野手キャリア13年目。観客席の女性ファンが「糸井さん出るかな~」なんて楽しみにしていたけれど、登場はまだ少し先になる。
「こんにちは。なんか久しぶりですよね」。糸井嘉男は元気そうだ。こちらは練習の姿を見ているけれど、確かに顔を合わせるのは久々かも。この日も新助っ人が派手に紙面を埋めてくれたので、打ち込みに励んだ糸井の記事は寂しい扱いになった。2月に糸井が試合に出ることはまずないが、それこそ金本構想で彼はどう扱われるのか。順調なら、試合解禁は3月中旬。その時すわる打順は…。
金本はこの一年間ずっと、糸井に打線の「中軸」を任せる。僕はそんな気がしている。昨季は故障で1カ月間離脱し、出場は114試合にとどまった。それでも規定には到達し、打率・290。本塁打は17本のうち8本を左打者には逆風(浜風)となる甲子園で放った。もし、万全なら…。オフに肉体改造した彼の破壊力に金本は相当な期待を寄せているはずだ。
昨秋、糸井は移籍1年目の自己採点を「2点…」と謝罪を込めるように言った。「お詫び」からの逆襲。「2点」からの挑戦。ちなみに…糸井の母校は「チャレンジ精神がある大学」ランキングでも1位だそうだ。=敬称略=