来秋まで続く「1年」

 【11月16日】

 前日の夜明け前、早起きしてサッカーの国際親善試合ベルギー戦を観た。残念ながら高知の宿泊先で中継局のテレビ朝日系列が映らず、苦心してスマホで観戦。日本がノーゴールに終わったこともあるが、単純に「面白み」だけでいえば、物足りなかった。新戦力のMF長沢和輝(浦和)ら見どころはあったし、世界ランク5位を相手に0-1は善戦ともいえる。だけど、日本時間の朝4時45分キックオフのこのゲームにどれほど注目度があったのか。早起きした視聴者にどれほど満足度があったのか。そっちにも興味がある。

 サッカーW杯を82年スペイン大会から観ているので蘊蓄(うんちく)だけは立派に語れる。やはりどの時代も優勝を狙う強豪国には必ずスーパースターが存在した。いまの時代ならメッシやネイマール、C・ロナウドは言うまでもない。ファンは自国の代表にスターの出現を熱望し、彼らのパフォーマンスに夢をのっけるのだ。

 そんな視点で語るなら、本田圭佑、香川真司が落選した今回の日本代表にスターは不在である。彼らに代わる新しいスターを探しては見るものの、どこか物足りなさを感じるのは仕方ないことか…。

 プロ野球だってファンあっての興行である。だから、ドラフトでスーパースター候補を手品のように引き当てる日本ハムはめちゃめちゃ恵まれている、と言える。

 どの球団も新しいスターをつくりあげ、ファンを喜ばせたい。では、今の阪神で一番のスターといえば誰か。ONのようなスーパーな方々は別格として、スターの定義を考えると…まず全国区、つまり、野球に疎い人でもその名を聞けば頷くネームバリューがあること。そして、見る者の心を躍らせる、所謂スター性があること…だと思う。今キャンプでいえば、投手では藤浪晋太郎。野手では…。

 「いつまで、こっちにいるんですか?」。昼過ぎ、坂道ダッシュに励む西岡剛から声を掛けられた。ぜひとも聞きたいことがあったので練習がひと段落したところで、ぶつけてみると…。

 秋季キャンプに参加すると聞いて、正直、びっくりしたよ。

 「いえいえ…。今、休みたくないんですよ。シーズンが終わって考えていたんです。こっちの秋季キャンプへ来るか、もしくは、海外のウインターリーグへ行くか。2017年というのはケガから復帰した年…ですから、僕の中では2018年のシーズンが終わるまでが1年だと考えているので…」

 アキレス腱断裂という、選手生命の危機からの復活途上。9月半ばには原因不明の背中の痛みにも悩まされた。11月の安芸は若手がしのぎを削る場…そこでリミッターを解き、泥に塗れる選択肢は僕の超・予想外だったけれど、33歳の西岡は涼しい顔でそう語った。

 来季終了までが西岡の1シーズン-。ならば、今はまだ半年を終えたところ。来秋まで一息もつかず、走り続けるということか…。

 阪神にはスターがいる。西岡剛が真のカムバックを果たせば、ファンの心は躍るのだ。=敬称略=

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