ファームの「行方」

 【9月24日】

 きのう清宮幸太郎の話を書いたら、各所から反応があった。もちろん、阪神の人からもあった。いま球界で一番の関心事だから当然か。高校や大学、社会人の指導者にも何人か知り合いがいるが、やはりアマ側の方も、怪物の進路は気になって仕方ないようだ。

 とはいえ、「どうなりそう?」と聞かれたところで、返しようがないのも事実。運と本人次第ですよね…そう答えるしかないのだ。

 ドラフトで指名される立場なのだから、「本人次第」というのもおかしい??それはそうなんだけど、過去にさまざまな前例がある以上、こればかりは分からない。清宮は22日の会見で「12球団どこでもOKなのか?」と問われ、こう答えた。「これから話を聞くので、まだ分からない」。そしてこうも言った。「厳しく指導していただいて、成長させていただける球団へ行きたい」。つまり清宮には確固たる理想像があり、彼の言葉を聞く限り、「受け身ではない」という意思表示にも思える。

 「阪神の環境ってどうなんですか?」。それこそ、アマ側の方々からそんなことをよく聞かれる。今年に限ったことではない。少しでも確度の高い情報を得ようと、僕に限らず、タイガースに関わる色んなジャンルの人間を“取材”しているのだと思う。無責任な話をするつもりもないけれど、僕は僕の感じたことしか言えない。最近、本当によく聞かれるのは、ズバリ2軍のことである。

 当然、かもしれない。清宮のような別格でさえそうだと思うが、選手をプロへ送り出す側、大方のアマチュア関係者は、まずその球団の育成システムに注目する。若い選手が利用する施設、寮はもちろん、やはり気になるのは、2軍の指導者だ。育成組織では、どんなスタッフが、どんなスタイルで野球に取り組んでいるのか。

 ドラフトに希望枠や逆指名がない今も、アマチュア界へ向けたアピールの「真摯さ」は問われる。

阪神は2軍監督、掛布雅之の退団が決まり、ファームのコーチ陣も血の入れ替えがあると聞いた。長年プロ野球を担当しているので、それぞれ球団内に「お家の事情」があるのは理解できる。そのうえでの話だが、来季の2軍リーダーやヘッド格を長い間“不明”のままにしておくのは、伝統球団にとって得策ではないと感じる。

 取材の限り、阪神のフロントは既に動いているようだし、近日中にその名前が浮かび上がってくるかもしれない。フロント、現場が一体となり、改革途上である球団の「構想」「ポリシー」を示していく。アマ側に「行きたい」「行かせたい」と、入団を望まれる組織であってほしいと願っている。

 例えば、大山悠輔は母校の指導者に聞かれてどう答えるのか。高山俊はどうだろう。岩貞祐太は?藤浪晋太郎は??あのとき阪神に指名されて良かった-。野球人生を終えた時、彼らはそんなふうに振り返るだろうか。厳しくとも、成長できる。そんなタイガースに…。運命のドラフト会議まであと1カ月である。=敬称略=

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